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福島建設工業新聞社
2011/05/17

【福島】復興ビジョン策定本格始動/有識者検討委が初会合

 震災復興に当たっての方針、基本施策を示す「県復興ビジョン」(仮称)の策定に向けた有識者検討会議が始動した。県復興ビジョン検討委員会の初会合が13日、県庁内で開かれ、復興のフレームについて各委員がそれぞれの立場から意見を出した。
 タイトな日程の下で委員会は今回を含め、7月下旬までに6回の会合を開いて提言をまとめる。提言を踏まえて県は、同月末を目標にビジョンを決定。年内には、復興ビジョンに基づき具体的な取り組みや主要な事業を示した復興計画の第1次分をまとめて、24年度予算に反映させたい意向だ。
 「復興」は、大きな被害を受けた社会基盤の、震災前の姿を取り戻す「復旧」にとどまらず、より良い本県像を築くものと位置付けている。ビジョン、計画とも県内全域が対象で、期間10年を見込んでいる。
 検討委員会は各界の有識者ら11人で構成。初会合の意見交換で委員からは共通した意見として、新しいクリーン・自然エネルギーを機軸としたエネルギーの開発・生産拠点としての再生が提言された。これによって新しい産業と雇用を生み出そうとする考え方で、手法として自然エネルギー特区構想などが示された。
 社会基盤の早急な復旧と、幹線道路や高規格道路の早期完成が不可欠だとする意見や、高所への移転や居住地集約化といった、地域の意向に立脚したインフラの再構築、耐震・耐津波・耐火基準の見直しを求める意見も寄せられた。コンパクトで人間中心の、歩いて暮らせるまちづくりを提唱する委員もあった。
 初会合で佐藤知事は「子どもたちの未来のために、素晴らしい福島県を復興させなければと思いを新たにした。事故を出発点として循環型エネルギーを考えていくことが、本県に与えられた課題だ」とあいさつした。
 検討委は、県総合計画審議会の会長として新しい県の総合計画策定に携わった鈴木浩福島大学名誉教授が座長を務める。鈴木教授は「新プランがスタートした矢先の大災害。社会的不安に立ち向かえるビジョン構築が課題だと受け止めている。震災で危惧される人口減少の加速化をどうカバーできるかが、地域社会の再生に大きくかかわってくる」と語った。
 委員会は19、21日に浜通りの被災地域を現地視察。29日開催予定の次回会合で、議論のたたき台を示し、論点を整理する。
 座長以外の委員は次の通り。
 ▽座長代行=山川充夫(福島大学経済経営学類教授)▽委員=赤坂憲雄(県立博物館長)安部義孝(ふくしま海洋科学博物館理事長兼館長)伊藤房雄(東北大学大学院農学研究科教授)鎌田真理子(いわき明星大学人文学部教授)清水愼一(JTB常務取締役)高橋迪夫(日本大学工学部教授)角山茂章(会津大学理事長兼学長)福井邦顕(日本全薬工業代表取締役会長)横山斉(県立医科大学医学部心臓血管外科学講座主任教授兼附属病院副病院長)