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建通新聞社
2011/05/19

【大阪】大阪府 咲洲庁舎を再検証 事業費上乗せで対策を強化

 大阪府の調査で、東日本大震災発生時の咲洲庁舎(旧WTCビル、大阪市住之江区)の揺れ幅が、これまでの解析モデル値よりも1.5倍大きいことが分かった。府は従来計画に約10億円を上乗せした約33億円の費用で耐震補強や津波対策を施す方針。一方、橋下徹知事を代表とする地域政党「大阪維新の会」は、庁舎の安全性を検証するプロジェクトチーム(PT)を、5月中にも立ち上げ、検証結果を知事に提言する考え。知事が意欲を示す咲洲庁舎への全面移転の議論に大きな影響を与えそうだ。(A面に関連記事掲載)
 東日本大震災の発生時、大阪は震度3を記録。咲洲庁舎は約10分間揺れ続け、エレベーター停止や、壁・天井などの損壊が発生した。
 今回の再検証では、構造躯体には影響がないことを確認したものの、内装材・防火戸などの損傷を合計360カ所発見。長周期地震動により、最上階付近の振幅は約2.7mに及んだことが分かった。これを基にした解析では、東南海・南海地震が連続発生した際の最大振幅(片側)は2.98m。全幅で約6mの揺れが生じる予測となった。これは従来想定の1.5倍に当たる。
 このため、府は庁舎改修の実施設計(日建設計大阪オフィスが担当)を変更し、対策を強化することとした。
 オイルダンパー、鋼材系ダンパーは合計296台を設置。エレベータの長周期地震動対策を前倒しで実施。非常用発電機を従来計画より増設。また、津波防御壁などを検討する。
 府は2011年度当初予算で長周期地震動対策にかかる改修工事費(債務負担行為)として 23億2,000万円を予算化したが、さらに10億円の事業費が必要となる見通し。
 一方、咲洲庁舎への全面移転を主張してきた大阪維新の会は、外部の有識者なども交えPTを立ち上げ、年内に咲洲庁舎の耐震・津波対策をまとめる。これで移転後の安全性を確保する。