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北海道建設新聞社
2011/05/20

【北海道】大樹町に寒冷地住宅の研究拠点−トステム建材産業振興財団 

 トステム建材産業振興財団は、環境技術研究機構の「メム メドウズ」を設立した。基幹施設となる寒冷地環境実証住宅『メーム』を大樹町芽武に建設し、温熱環境などの負荷データを収集。既存住宅を改修した実証用と研究員宿舎のスマートリフォーム住宅も配置するほか、「今後は大学の研究機関を建設地構内に誘致して(同グループの)寒冷地住宅研究のメッカにしたい」考えだ。7月末のメーム竣工を記念し、東日本大震災復興支援イベント「大樹町メムサミット」を10月に同町で開催。東北と北海道の大学生を対象に住宅デザインコンペも実施する。
 社会的な環境問題の高まりから、環境の在り方が問われる一方で、東日本大震災の復興に向けて建築業の向かうべき方向が大きく変化しつつあるという。
 同財団は、メムメドウズを通じて環境に配慮しながら快適な住宅を研究。実証施設や研究機関を大樹町芽武の大樹ファーム跡地に集約し、取り組みを深化させる。
 メームは隈研吾建築都市設計事務所(東京)が設計を担当した、アイヌの伝統的な建物をモチーフにした木軸構造の実証住宅。床には蓄熱式床暖房を採用し、壁は建物全体を半透明の膜材で覆い、採光性と断熱性を持たせる。また、さまざまな部材が実験できるよう床材、窓、断熱材が取り換えられる構造とする。
 床、壁、屋根、窓などには東大生産技術研究所・野城研究室の指導で、各種センサーを設置。各部所の熱負荷、地震発生時データなどを自動計算で蓄積し、部材の開発に役立てる。
 メーム竣工を記念したサミットは、10月28日午後1時30分から大樹町生涯学習センターで「環境と人間が一体となる建築」をテーマに開く。LIXIL(本社・東京)、大樹町、生活環境研究センターが協賛。帯広開建、十勝総合局、北方建築総合研究所、日本建築学会、日本建築士会連合会の後援を予定している。
 サミットでは、メームの設計コンセプトについて設計者の斉川拓未氏がプレゼンする。次いでコンペの公開審査をするほか、シンポジウムも実施。シンポでは、建築と人間が一体になるような建築の在り方について隈研吾氏が座長となり、コンペの審査員を務める斉川氏、五十嵐淳建築設計(佐呂間)の五十嵐淳氏、東大生産技術研究所の川添善行氏ら10人が提言する。
 コンペは「新しい家」がテーマ。財団の運営趣旨に基づき、被災後の新しい時代の幕開けにふさわしい建築の姿を求める。あすの建築業界を担う北海道と東北の大学生に、新たな創造の地平を切り開く奮起を期待している。
 エントリーは受け付け中。申し込みは7月12日まで。作品提出期限は9月15日で、1次審査結果の発表は10月3日。公開審査で最優秀賞(賞金120万円)と優秀賞(同20万円)を各1点、入賞(同10万円)3点を選ぶ。
 最優秀作品のプランには、構内で実際にその住宅を建設する特典も与えられる。