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建通新聞社(神奈川)
2011/06/13

【神奈川】かながわソーラーバンク構想 パネル規格化必要

 かながわソーラープロジェクト実現のカギとなる民間資金を活用した「かながわソーラーバンク」(KSB)構想の実現に向け、有識者や関係事業者などから成る「かながわソーラープロジェクト研究会」の第2回会合が9日に開かれた。事務局の神奈川県環境農政局が示した、電力会社による現行の「余剰買い取り制度」と、国に働き掛けている「全量買い取り制度」を前提とした二つのシナリオをたたき台に意見を交わした。事務局案では、現行制度の下で住宅用太陽光発電システムの設置を促進しようという場合、工事単価を引き下げ、設置者の初期費用を低く抑えるために、KSBによる「ソーラーパネルの一括・大量調達」や、ソーラーパネルの規格化「かながわモデル」の策定が必要だとした。
 研究会は学識経験者や環境省などの国の職員、関係事業者などで構成し、検討成果は庁内の推進体制「ソーラープロジェクト推進本部」(本部長、黒岩祐治知事)に報告、提言する。
 政府は、東日本大震災の直前、3月11日の午前中に、自然エネルギーの全量買い取り制度の基(根拠)となる法案を閣議決定した。だが、住宅に付ける太陽光発電については現行の余剰買い取り制度を継続すべきとした。 
 「ソーラーパネルの設置者が費用を負担せずにシステムを導入できる仕組みづくり」(黒岩知事)の中心に位置するのがKSB。ただし、それは「全量買い取り、買い取り期間20年」を視野に、KSBの経済性が高まったケースを想定したもの。
 県が示した試算によると、現行の余剰買い取り制度(42円/`h時・10年間)で、「売電収入(電力会社から得る収入)と自家消費分のメリット」で投資回収した場合、10年後に残る債務は約82万円(補助金を差し引くと約55万円)。11年目以降も買い取りが継続したとしても、投資回収までに15年程度かかる。
 そこで、事務局側が現行制度の下でも、できるだけ安くソーラーパネルを設置できるよう、「全量買い取りの場合とは別のシナリオ」も用意すべきと提案。その中で、既存のリフォームローンなどを活用した資金調達のスキームを示した。
 また、リーズナブルな価格を実現するため、KSBがソーラーパネルを一括で大量に調達する方法や、仕様・施工方法を規格化した「かながわモデル」を策定し、価格低減とともに一定の性能を保証する手法が考えられるとした。
 オブザーバー参加した黒岩知事は、「(現行制度下のシナリオは)現実的だと思うが、3月11日午前の閣議決定後、(東日本大震災によって)のどかな議論のステージはがらりと変わった。エネルギー危機は日本の産業の危機である。自然エネルギーを一気に普及させないと国がつぶれる」とし、住宅用太陽光発電の全量買い取りを、国に強く求めていく考えを強調した。
 次回6月21日に第1次の報告書案をまとめる。