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建通新聞社(静岡)
2011/07/13

【静岡】静岡県 農業用水路にも小水力発電設置へ

 静岡県は、農業用水路への小水力発電設備導入に向けた取り組みをスタートする。現段階で対象とする用水路の場所など詳細を明らかにしていないが、50kW程度の能力を備えた発電設備を落差工のある場所に設置することを想定しており、設備などの詳細な調査を進めるとともに施設管理者である土地改良区と事業化への協議を進めていく考えだ。
 県内には受益面積が100f以上の農業用水路が延長1117`(2007年度末現在)あり、ここを年間約27億dの水が流れている。この水の流れを活用しようと県は、ことし3月に策定した「ふじのくに新エネルギー等導入倍増プラン」の中で、農業用水路への小水力発電設備の導入を戦略プロジェクトとして位置付けた。
 これに先立ち県は09年度、県内27カ所の農業用水路を対象に導入可能性を調査。この結果、「5カ所に導入が可能」「12カ所にコンパクトな設備の導入が可能」と判断した。そこで10年度、全国土地改良事業団体連合会が国庫補助事業を活用し、県内で導入可能とされた5カ所のうち2カ所を対象にさらに詳細な調査を実施。水量の不足で1カ所は導入が困難とされたが、もう一方は50kW程度の発電が可能で、用水の施設運営に必要な電力を賄いつつ売電する出力を得られることが分かった。
 農業用水路に小水力発電設備を導入する場合、事業主体は受益者(利用者)である土地改良区となる。そこで県は今後、対象となる土地改良区との協議を進め、土地改良区が国庫補助を得て直接事業化、または県が事業協力する形のいずれかで検討するとともに、設備の規模や設置場所などを盛り込んだ事業計画を策定する。
 農業用水路に設置する発電設備は、水位差を利用するダムなどと違い水流を活用するため、設置場所は落差工のある場所を想定。「汎用品」の設備がないため、数億円規模の“セミオーダー”の設備になるとみられている。
 この小水力発電設備を皮切りに、導入可能性があると判断された用水路での事業化を順次、検討していく。
 また、県は現在、▽大代川(島田市)▽原野谷川(掛川市)▽大倉川(富士宮市)▽都田川(浜松市)―の4カ所の農地防災ダムを管理しているが、いずれも水を常時ためていないため発電に適していないと判断。小水力発電設備を導入しない方針。 
(2011/7/13)
建通新聞社 静岡支社