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日本工業経済新聞社(茨城)
2011/07/14

【茨城】土木委員会が参考人から意見 本紙が県内業者の役割語る 災害に強い県土づくりへ 県議会

 外部からの意見を参考とするため県議会土木委員会(錦織孝一委員長)に招かれた本紙水戸支局長の小泉孝司氏は、県内建設業者の動向と震災における県内建設業者の役割について語った。震災からの復旧などを例に「普段どおり生活できるのは建設業者らのおかげ。復旧した時の感謝を忘れずに、建設業者が縁の下を支えられるよう、十分な支援をお願いしたい」と述べ、建設専門紙としての立場から、建設業者の役割と公共事業の意義を広く再認識させる必要性を説いた。
 13日に開かれた県議会土木委員会の所管事務の審査で、参考人として招かれ、意見を述べたもの。土木委員会では、毎年、一つの重点テーマをもとに審査し、県の土木行政へ提言している。ことしの重点テーマは「東日本大震災を踏まえた災害に強い安全・安心な県土づくり」。このテーマを考えるにあたって、土木委員会では本紙水戸支局長の小泉氏から意見聴取した。
 小泉氏は、公共事業が最盛期から激減した時代背景を踏まえ、建設業へのバッシングや、たび重なる入札制度などで蓄積する業者の不満を生々しく代弁。
 そんな中にあっても震災発生時には地元建設業者が不眠不休で復旧作業にあたり、また日ごろから行ってきた地道なボランティア活動などを例に挙げ、「これからは人の命を守る、地域を守る公共事業に生まれ変わるべき。未来を担う子ども達のため、官民一体となり、新たな県土づくりをお願いしたい」と述べた。
 また、建設業者らの努力によってインフラが復旧したことを踏まえ、「インフラが復旧したときの感激は、建設業者らの頑張りによるもの。建設業者が縁の下を支えられるよう、十分な支援をお願いしたい」などと語った。
 同様に、委員会から参考人として招かれた茨城大学教授・学長特別補佐の三村信男氏は、地球環境工学と海岸工学の見知から、災害に強い安全・安心の県土づくりに向けて意見。
 津波から迅速に避難する術として、GPS波高計を海上に設置して備えるほか、沿岸地域へ浸水高や標高、避難路を示す標識の設置、防災教育や地域防災計画の見直しを挙げた。
 また、国の中央防災会議の資料を参考に、海岸堤防や護岸、防波堤、海岸林など海岸保全施設の向上が必要と述べた。
 そのほか委員会では、執行部(県土木部)から事業の説明を聴取。
 土木部の担当各課は、9項目の現状と課題を踏まえながら、これから目指すべき方向性についてそれぞれ説明。
 道路建設課が、防災を支える幹線道路ネットワークの構築を進めるため高速道路のミッシングリンク(未整備区間)の早期解消などを挙げたほか、港湾課が耐震強化岸壁の整備促進、検査指導課など関係各課が長寿命化計画の推進などを挙げた。
 また、都市計画課が県都市計画マスタープラン「仮・震災対策編」の策定、河川課が新たな津波対策の検討、そして建築指導課と住宅課が天井などの落下対策や地盤の液状化対策、道路維持課が橋梁の耐震対策と道路法面対策を挙げた。
 そのほか監理課が、震災を踏まえた県内建設業者の評価や育成、入札参加資格や建設機械保有などの評価による支援を、今後の方向性とした。
 土木委員会では、10月13日にも第2回目を開催する予定で、その結果と県内外の調査結果などを踏まえ、12月の定例県議会をめどに提言書をまとめていく方針。
 各項目における目指すべき方向性は次のとおり。
 ●安全で安心して暮らせる災害に強い県土づくり
 【広域的防災を支える幹線道路ネットワーク(道路建設課)】
 ◇高速道路のミッシングリンクの早期解消(圏央道、東関東道の早期供用)
 ◇直轄国道等幹線道路の4車線化
 ◇防災上重要な施設(高速IC、港湾、医療施設等)などへのアクセス強化
 ◇災害時における代替ルートの確保
 ◇災害時に想定されるボトルネック箇所への対応(橋梁の耐震化や道路法面対策など)
 ◇適切な災害関連情報の提供
 ◇国、県、市町村、警察など関係機関との連携強化
 【広域的物流拠点としての港湾機能の強化(港湾課)】
 ◇常陸那珂港区の耐震強化岸壁は、地震後直ちに緊急物資輸送用として利用が可能だったことを踏まえ、耐震強化岸壁の整備を促進する
 ◇液状化によるふ頭用地や臨港道路の陥没箇所を迅速に復旧できるような体制を整備する
 ◇地震時の津波を想定し、受電施設の代替機能の確保、荷役機械などの港湾機能施設が停止しないための減災対策や港湾背後地の減災対策として、防波堤の延伸などを図る
 ◇東京湾の災害(地震、大規模火災、テロなど)に対してバックアップできるよう、本県の港湾機能の充実強化を図る
 ◇建設機械や自動車などの海上貨物の増加に対応できるよう、常陸那珂港区中央ふ頭の新たな大水深岸壁の整備を促進する
 【公共施設の長寿命化(検査指導課)】
 ◇早期に長寿命化計買うを策定し、これまでの大規模な損傷が起こってから対応する「事後的維持管理」ではなく、早期に損傷を発見し、大規模な修繕に至る前に対策する「予防保全的維持管理」への転換を戦略的に行い、ライフサイクルコストの縮減および各施設の長期的な健全性を確保することにより、県民の生命、財産を守り安全で安心な県土づくりを行う。
 ●安全・安心な県民生活の確保と民間活力の活用
 【災害に強いまちづくりの推進(都市計画課、都市整備課、公園街路課、下水道課)】
 ◇国の方向性や被災状況調査などを踏まえ、県都市計画マスタープラン「(仮)震災対策編」の策定など、本県の地域特性に応じた災害に強いまちづくりを促進する
 ・防災拠点施設やライフラインの耐震性強化、津波対策の推進
 ・広域避難地としての都市公園の防災機能強化
 ・津波に強い建築物等や土地利用計画の検討
 ・緊急輸送道路の整備推進や安全な避難路・避難地の確保
 【河川・海岸・砂防における防災対策の推進(河川課)】
 ◇河川
 ・整備箇所の重点化を図り、効率的・効果的な整備を進める
 ・多様な治水対策を展開しながら、整備効果の早期発現を目指す
 ・大規模プロジェクトによる流出量の増大に対応した河川改修を進める
 ◇海岸
 ・高潮、波浪、侵食などから県土を守るための海岸整備を推進する
 ・「津波対策の推進に関する法律」の施行(ことし6月)や国の中央防災会議の地震・津波防災対策に関する専門部会の提言などを踏まえ、新たな津波対策を検討する
 ◇砂防・地すべり・急傾斜地
 ・土砂災害から住民の生命と財産を守り、地域の安全・安心を確保するため、土砂災害防止施設の整備を推進する
 【地域防災力の向上対策(河川課)】
 ◇地域住民への防災情報の周知徹底など
 ・ハザードマップの地域住民への周知徹底を促進する
 ・東日本大震災の津波の実態(浸水区域等)を把握し、津波浸水想定区域図の見直しを図る
 ・「津波対策の推進に関する法律」の施行(ことし6月)や国の中央防災会議の地震・津波防災対策に関する専門部会の提言などを踏まえ、新たな津波対策を検討する
 ・土砂災害警戒区域などの早期指定を推進する
 ・指定後のハザードマップの早期策定を促進する
 ◇防災体制の充実
 ・民間企業や住民団体などの参加による避難訓練などの実施を促進する
 ・老人福祉施設など災害時要援護者関連施設への警戒避難体制の整備を促進する
 ・住民の防災意識の向上を図る
 ・小中学生などを対象とした防災教育を促進する
 【道路防災対策(道路維持課)】
 ◇橋梁の耐震化
 ・橋梁の被災状況を見ると、これまでの耐震対策は有効であったことから、引き続き残りの要対策橋梁56橋の耐震化を進める
 ・要対策橋梁177橋以外の橋梁においても、被災状況を踏まえ耐震化を検討していく
 ・国の動向を注視し、必要に応じて耐震対策計画の見直しを検討する
 ◇道路法面対策
 ・本年度61カ所の対策が完了することから、2006年度に実施した緊急点検結果と今回の震災による被災状況を踏まえ、新たな対策を検討していく
 【建築物の耐震化(建築指導課)】
 ◇県耐震改修促進計画に基づく耐震化の促進
 ・災害時に防災拠点施設となる学校などの施設については市町村と連携を図りながら、優先的に耐震化を促進
 ・天井や照明などの非構造部材の落下防止対策については、国の調査検討結果を踏まえ、必要な情報の提供や技術的支援などを実施
 ・地盤の液状化対策として、国の液状化対策技術検討会議の設置を踏まえ、県は液状化対策検討会を設置する。また液状化関連情報の民間提供を行う
 ◇被災建築物の応急危険度判定体制の充実
 ・応急危険度判定士(3月末現在2205人)を2013年3月末までに3000人に増やす目標を掲げる
 ・応急危険度判定模擬訓練および判定コーディネーター養成
 ・緊急時の判定し招集派遣方法の見直し検討
 ●災害発生時に重要な役割を担う地元建設業の支援・振興策(監理課)
 ◇技術と経営に優れた県内建設業者の育成
 ・県内建設業者への優先発注の拡大(災害対応、地域維持などを支える建設業者の育成)
 ・雇用確保や雇用環境の整備(入札参加資格での雇用の評価、保健未加入者の排除など)
 ・工事の品質・安全性の確保(技術者の適正配置や優良な人材への評価など)
 ・経営基盤や収益力の強化(合併や新分野進出による経営体質の強化など)
 ◇地域の災害を担う地元建設業者の育成のための支援
 ・災害時の地域の安全安心を支える地元建設業者への評価(災害時の応急復旧活動など社会貢献活動への入札参加資格での評価拡大や、建設機械保有などの推進)



提供:日本工業経済新聞