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日刊建設工業新聞
2011/07/20

【鳥取】鳥取大学キャンパス整備マスタープランを改訂/耐震化と環境対応を重点に位置づけて施設目標と整備指針見直す

 鳥取大学は、6年ごとに見直す中期経営計画に沿った鳥取・米子2キャンパスの施設整備マスタープランを改訂、今後の新増築や改修建物の色彩から設備の省エネ化まで施設設計に当たっての指針を決めた。鳥大の施設・環境委員会が今年度からの整備目標と実施計画に反映させる。
 全学的な経営目標にもとづく、必要な施設の新増設や改築、維持管理には急がれるものが多く、財務面で独立大学法人として国庫補助に頼れない前提から、補助金以外の資金活用を含めた新たな手法で学生寮などの整備を進める。今後、長期借入金の活用、PFI方式も視野に入るものとみられる。
 基本的方針に、施設の利用状況を実態調査し効率的な活用を目指す方式を取り入れる。キヤンパスアメニティー・緑地環境への配慮、環境マネジメントによる学校造りに視点を置き、耐震化の促進とユニバーサルデザインの導入、防犯設備の充実など、安全なキャンパス整備を進める。
 今後の整備方針として、キャンパス内の空きスペースの弾力的な活用を目指し、6年周期で実態調査を実施、スペースマネジメントによる施設の有効活用を実施する。事例として、全学共用スペースの新設について新増築の際にスペース規模を原則として全体面積の20%設ける。改修では共用スペースにおおむね10%をあてて設計する。また、若手研究者の先端的プロジェク研究スペースを、新増築・改修の全面積の5%を充当する。
 また、維持管理費を「基盤的経費」と位置づけ、インフラ整備の老朽度・緊急性・投資効果などを数値化して順位を付けて整備する方式を実行する。
 省エネ対策では、監視・測定システムの導入、環境配慮設備機器で設計導入する。環境負荷の低減の設計基準は、効率的な断熱設計・屋上壁面緑化・自然光取り入れ空間設計・LED照明・タスクアンビエント照明・センサー式照明・センサー空調機器・個別軽量システム・節水型水洗便器設置を規定する。
 再生資材として、デッキにリサイクル素材(再生ウッド)、付属演習林の間伐材、エコケーブル、屋外埋設配水管にリサイクル塩ビ管を採用する。ゼロエミッションへの取り組みは、「鳥大エミッションコントロール計画」を活用する。
※鳥取キャンパス整備計画(鳥取市湖山町南地内)
 不足するパブリツクスペース計画の充実では、中央プラザ(地域学部・工学部・農学部・付属図書館などへのつながりを持たせ、芝生による多目的広場・噴水・緑地を配置)、メーンストリート(エントランスから中央プラザを結ぶキャンパスの軸線として、樹木活用による整備)、エントランス(大学の顔として明るい緑化空間創造)、語らいの森(中央プラザに隣接する緑化帯造成)などを共通教育棟アゴラとの関連性を持たせ新設する。
 整備にあたり、新分野研究スペース、学生・若手研究者スペース棟、教育・研究環境の改善と、防災拠点となる施設整備を急ぐ。今後の計画建物としては、事務局庁舎、工学部の校舎、共通教育棟の校舎、動物実験施設、体育館、第2体育館、動物実験棟、農学部付属フィールドサイエンスセンター、総合メディア基盤センター、ものづくり教育実践棟などを挙げている。
 建物デザイン設計では、全体の色彩調和に配慮しつつ、学部校舎はキャンパス内の既存建物との調和を考慮、既存外壁面の赤系タイル色に合わせて外壁面を赤系、柱型を白系に統一、耐震アウトフレームは暖色系を採用する。全学共通建物は、出入り口周辺にカーテンウオールを採用、ひさし部の水平ライン色をキャンパスの中で適度に目立つ色彩とする。
 屋根仕上げは、緑系とし、緑地の多いキャンパスとの調和を図る。ただし、体育館のこう配屋根は既存の色と合わせ青緑系とする。内部デザインは、内装材に鳥大付属の蒜山ひるぜん演習林の間伐材を積極的に採用、地球環境に配慮した仕上げとする。校舎は、廊下に面する建具の色を各階ごとに変えることにより、ユニバーサルデザインとする。その色彩選定にあたり、原色を避け落ち着いた色を基本とする。
※米子キャンパス(米子市西町地内)
 医学部図書館、医学部校舎(旧保健学科棟)は耐震性が劣り、早急に整備する必要がある。医学部定員の増加による学生スペース・研究スペースが不足しており、整備にあたり新分野研究スペース、学生・若手研究者スペースなどの改修を行う。前記以外の計画施設として、大学会館、記念講堂、課外活動施設、再整備後施設の設備改修を挙げている。
 付属病院は、1995年の外来・中央診療棟の整備により再開発を完了した。その後、先端医療への対応として必要な整備をしてきたが、病棟は90年整備され2015年には築後25年となり老朽化が進む。このため中期計画期間内に再々整備計画を策定する。前記以外の建物の整備計画対象として、体育館、第2中央診療棟の臨床研究棟などを挙げている。
 建物外部デザイン計画は、学部校舎がキャンパス内の既存建物との調和を考慮した落ち着いた色彩とする。耐震アウトフレームは、近隣住宅に配慮し外壁と同系色とする。付属病院は不特定多数の人が利用することを考慮し、清潔感ある白系を基調とし既存施設と調和を図る。屋根の仕上げは既存に合わせた緑系とし、周辺緑地と調和させる。内部デザインは、内装材に同学付属蒜山演習林の間伐材を積極的に使用、地球環境に配慮した仕上げとする。色彩は白系の暖かみを強調する。
※浜坂キャンパス(乾燥地研究センター、鳥取市浜坂地内) 本館は1962年に建設され、94年に増築された老朽化建物。最先端の教育研究を推進するにあたり支障が出ているため、早急な改築が必要。本館(現規模・鉄筋コンクリート造3階建て2018平方b)は中期期間内に計画。
※付属4校(鳥取市湖山町北地内)
 付属小学校・中学校は築後25年、同幼稚園は40年を経過、付属特別支援学校は築後31年経過している。それぞれ、多様な学習内容・形態など時代のニーズに遅れており、「付属学校のあり方検討会」の審議結果を踏まえ「モデル校」としての機能を強化する整備が必要。計画建物として、付属小・中学校(現規模・鉄筋コンクリート造3階建て1万2511平方b)、付属幼稚園(同・鉄筋コンクリート造平屋建て1073平方b)、特別支援学校(同・鉄筋コンクリート造平屋一部2階建て3487平方b)を挙げている。