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建設経済新聞社
2011/07/21

【京都】上京区役所の総合庁舎化 秋頃までに事業手法決定へ 延約7933u、工期は約16ヵ月

 京都市は、上京区役所を現地で建替え、近接する上京保健センターを統合し総合庁舎化を図る事業について、事業手法の検討を進めている。費用対効果などを勘案し秋頃までに事業手法を決定する方針で事業手法の決定後、23年度中に事業者選定までこぎつけたい考え。
 現在の上京区役所庁舎(上京区今出川通室町西入堀出シ町289)は、上京区役所と上京福祉事務所が置かれ、建物自体は昭和13年築で市内で最も古い区役所庁舎。耐震性の確保とともに老朽化や狭隘化の解消を図るため現地で建替える計画。また上京区役所庁舎から西側に約500m離れた昭和38年築の上京保健センター庁舎の機能を統合、区役所・福祉事務所・保健センターを統合した総合庁舎化を図る。
 総合庁舎化にあたっては基本計画策定業務をみずほ総合研究所関西支社(大阪市中央区)に委託。区民らとともにワークショップで検討を重ね、22年度に基本設計を梓設計大阪支社(大阪市北区)に委託し実施。まとまった基本設計は23年5月に内容を明らかにした。
 また事業手法検討及び事業者選定等アドバイザリー業務はパシフィックコンサルタンツ京都事務所(京都市下京区)に委託。業務の履行期間は24年8月末まで。事業手法としては、実施設計・施工を市が行う従来型、基本設計先行型DBM(デザイン・ビルド・メンテナンス)、基本設計先行型PFIの3パターンで検討を進めている。
 現区役所は解体し跡地に新庁舎が建設されるため、新庁舎が開所するまでは仮庁舎で業務を行う。仮庁舎としては元西陣小学校北校舎を改修し使用するとともに、別途仮設庁舎を設置し対応する。
 元西陣小学校北校舎(RC造地下1階地上3階建、延約2550u)を新庁舎整備期間中の仮庁舎として活用するための改修設計はミニマックス建築社(京都市右京区)が担当。改修工事は着工後23年度中に完了させる。市は23年度当初予算に上京区総合庁舎整備事業費として1億8420万円を確保している。現区役所解体工事の設計は山口正人建築設計事務所(京都市下京区)で進めている。
 24年度は仮庁舎への移転に加え、現区役所(RC造地下1階地上3階建、延4130・76u)の解体工事、埋蔵文化財調査を予定。25年度に着工し、26年度中の竣工・供用開始を目指す。工期は約16ヵ月程度を見込む。
 基本設計によると、新庁舎はSRC造地下1階地上4階建、延約7933u(建築面積約2363u)。主体建築物は延約7823u(建築面積約2253u)、付属建築物(駐輪場等)は延約110u(建築面積約110u)。最高高さは約18・4m。駐車場は1階ピロティ部分の7台を含む計16台、駐輪場は172台、バイク27台を確保する予定。
 区民交流スペースを含めた吹き抜けエリアは明るく開放的な内部空間とするとともに、床や壁の仕上げ材に木材を利用した内装を施す。人にやさしいユニバーサルデザインの考え方を採用、わかりやすい案内表示とするほか、トイレのオムツ替えベッド・補助手すり、オストメイト設備、非常呼出設備を設置し誰もが利用しやすいようにする。
 外観は、縦格子や板目模様の外壁、瓦葺きの軒庇など和のデザインとする一方、すっきりとした水平ラインを形成する外観意匠とし未来の京都につなぐ先進性を演出する。太陽光発電の利用、自然換気による自然エネルギーの利用、省エネガラスの採用に加え、2階・3階・4階では屋上緑化も行う。下水道への負担低減を図る雨水流出抑制槽を設けるほか、井戸水・雨水を便器洗浄や散水に利用するための設備も設ける。
 フロア別配置計画によると、▽地下1階=防災備蓄庫(77u)、倉庫(482u)、資料庫・保管庫(59u)、会議室・諸室(184u)、厚生室(和室含む。59u)、清掃員室(11u)、機械室(247u)、その他(階段・エレベーター・廊下等。285u)▽1階=まちづくり推進課・事務室(90u)、同・相談室(6u)、市民窓口課・事務室(240u)、同・耐火倉庫(61u)、会計室(25u)、保険年金課・事務室(236u)、同・相談室(17u)、同・作業スペース(35u)、エコまちステーション事務室(33u)、宿直室(37u)、福祉部倉庫(41u)、会議室(145u)、更衣室(36u)、犬舎(18u)、空調機械室(38u)、待合ロビー(248u)、区民交流機能(交流ロビー。142u)、その他(階段・エレベーター・廊下等。495u)▽2階=総務課・事務室(145u)、同・区長室(26u)、同・応接室(44u)、同・作業室(30u)、市民税課(169u)、固定資産税課(83u)、納税課・事務室(80u)、同・面接室(12u)、福祉介護課・事務室(209u)、支援保護課・事務室(189u)、同・プレイルーム(24u)、同・ケース診断室(26u)、同・電算室(18u)、同・面接室及び相談室(53u)、更衣室及び休憩室(52u)、空調機械室(36u)、待合ロビー(225u)、その他(エレベーターホール・トイレ・階段等379u)▽3階=保健センター長室(28u)、保健部執務室(240u)、〈成人・精神部門〉カルテ保管室(11u)、精神相談室(12u)、成人・精神予診室(25u)、成人診察室・精神相談室(20u)、処置室(15u)、成人指導室(24u)、〈乳幼児部門〉乳幼児予診室(26u)、歯科相談室(12u)、乳幼児計測室(22u)、乳幼児診察室(9u)、発達相談室(12u)、〈レントゲン撮影部門〉直接撮影室(38u)、間接撮影室(38u)、操作室・受付(21u)、現像室(9u)、〈衛生部門〉細菌・食品等衛生検査室(35u)、臨床検査室(23u)、環境調査室及び衛生害虫調査室(30u)、多目的室(142u)、栄養改善室(68u)、待合ロビー(260u)、更衣室(20u)、発電機室及び電気室及び空調機械室(200u)、その他(エレベーターホール・トイレ・階段等。357u)▽4階=区民交流機能会議室(93u)、同(和室。50u)、会議室(専用倉庫含む。333u)、通信機械室(20u)、その他(エレベーターホール・トイレ・階段等。182u)で、合計7823u。エレベーターは3基。
 仮庁舎整備や現庁舎の解体、埋蔵文化財調査、用地費なども含めた総事業費は約47億0900万円を想定。施設建設費は31億6500万円を見込む。
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 京都市は、区役所の総合庁舎化を進めているが、ここ数年の総合庁舎化事業をみると、右京区役所総合庁舎(サンサ右京)新築工事は18年度に一般競争等を採用し入札。建築主体その他工事は清水−銭高−岡野−長村JV、空気調和設備は新菱−扶桑−中川JV、衛生設備は京栄−橋本JV、電気設備は武智−中島−豊原−正光JV、昇降機設備は三精輸送機が落札し施工を担当。20年3月に順次開所した。
 伏見区総合庁舎整備事業では、政令指定都市として初のPFI(BTO方式)による区庁舎整備で、事業者審査の結果、藤井組グループ(代表企業…藤井組、構成員…増田組、三菱UFJリース、松田平田設計、高松伸建築設計事務所、太平ビルサービス、近建ビル管理)に決定。市は特定目的会社の葛桾嚼と契約した。契約金額(税込)約64億円の内訳は施設整備費約55億円、維持管理費約9億円。20年5月24日に起工。21年12月28日から段階的にオープンし22年1月9日に開所式を行った。
 左京区総合庁舎整備事業では、PFI(基本設計先行型DBM)を採用し、事業者審査の結果、藤井組グループ(代表企業…藤井組、構成員…南海ビルサービス、協力会社…大建設計、近建ビル管理)に決定。市は特別目的会社の竃ュ左京と契約した。契約金額(税込)約52億円の内訳は施設整備費約42億円、維持管理費約10億円。21年9月5日に起工。23年5月6日に新庁舎で業務を開始した。