静岡県は、交通ネットワークの緊急点検に乗り出す。県内の陸・海・空の交通基盤やネットワークなどの現状を整理し、大規模災害が発生した際の被災規模や被災施設を想定した上で、災害時の交通ネットワークなどを検討。この結果を企業の事業継続計画(BCP)に反映させるとともに、交通ネットワークを再検証する際の基礎資料とする。これに先立ち、基礎調査業務をプロポーザル方式で近日中に発注する考え。
東日本大震災の甚大な被害を踏まえ、東海地震や東海・東南海・南海の3連動地震とそれによる大規模な被害の発生が予想される静岡県内でも、社会経済の被害軽減や早期の復旧・復興を支える交通基盤の在り方の再検証が求められている。しかし、国による土木構造物などの技術指針の見直しや、中央防災会議による3連動地震の被害想定などの策定は2011年度末以降となる見通しで、これを受けて県が被害想定を見直すのは12年度以降となる。
そこで、まず、現在の県内の交通ネットワークを点検・評価し、現在の緊急避難路などが活用できるのか、また代替ルートがあるのかなど、現段階で考えられる災害時の代替交通やルートなどを検討することにした。
基礎調査業務として、東日本大震災が与えた社会経済への影響や交通インフラの役割などを整理するとともに、県内の交通インフラ(道路や鉄道、港湾、空港など)や防災拠点、ライフライン施設(電気、ガス、上下水道など)の整備状況と利用状況を整理し、地震や津波などの災害時の被害を評価する。
その上で、災害時の交通ネットワークを検討し、安全・安心な交通ネットワークづくりを進める際の課題や今後検討すべき論点を整理する。
シンクタンクなど民間に基礎調査を委託し、並行して県が設置している有識者会議(県交通ネットワークビジョン検討委員会)で課題や論点の整理などを行う。
11年度中に検討結果をまとめ、当面の対策として、県内の企業などのBCPに反映させることを目指すほか、中長期的な対応として、県の第3次被害想定の見直し後に交通ネットワークの在り方を検証する際の基礎資料とする。
(2011/7/22)
建通新聞社 静岡支社