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建通新聞社(静岡)
2011/08/05

【静岡】静岡県 津波対策施設の点検結果を中間まとめ 伊豆半島に多くの堤防高・防潮堤高の不足区間

 静岡県は、東日本大震災の津波被害を受けて実施している「津波対策施設点検」の結果について中間とりまとめを行った。県の第3次被害想定に基づき想定津波高に対する施設の連続性と高さを調べた結果、浜名湖や那賀川などの堤防20カ所、内浦漁港や仁科漁港など防潮堤7カ所で高さが不足しており事業に未着手だった。未着手の防潮堤のすべてと、堤防の15カ所が沼津市から伊豆半島にかけての区域に集中していた。県は今後、地元関係者との協議や事業の進め方の検討を進めていく。
 県内の海岸線のうち津波対策の必要な延長は279・3`。これまでに防波堤や防潮堤、水門・陸閘(こう)などの整備を進めてきたで、対策(整備)済みの区間の延長は249・7`(整備率89・4%)となっている。また、河口部への水門の設置や堤防の嵩上げなどの対策が必要な河川が38あり、このうち18河川の整備が完了している。
 県では、東日本大震災を受け、第3次被害想定(伊豆半島東海岸は神奈川県西部地震)に基づく想定津波高に対する施設の連続性と高さを調査している。
 これまでの調査結果で、想定津波高に対応する津波対策施設の整備が未着手だったのは、遠州灘では、▽浜名湖▽竜今寺川▽新野川▽筬川▽中西川―の5河川。
 駿河湾(沼津市域まで)は、▽内浦漁港▽西浦漁港―の防潮堤と、▽陰野川▽西浦河内川▽立保川▽古宇川―の4河川で高さが不足していることが分かった。
 伊豆半島では、▽仁科漁港▽須崎漁港▽伊東港(川奈)▽伊東港(新井)▽宇佐美漁港―の防潮堤高と、▽大川▽小土肥大川▽火振川▽那賀川▽中木川▽大賀茂川▽稲生沢川▽河津川▽伊東大川▽北川▽熱海仲川―の11河川の堤防高が不足していた。
 これらの事業推進の課題となっているのが、多額の事業費の確保や、海と山に挟まれた平地部に集落が密集しているため防潮堤の用地の確保が困難なこと。さらに、漁業活動の利便性の低下を心配する漁業者との調整が困難なこと、沿岸部の眺望が遮断されるなど景観上の問題から地元住民の合意が得られないことなども施設整備を進められない要因になっているという。
 県では当面の対策として、第3次被害想定に基づくハード面の整備を優先して取り組む方針を打ち出しており、今後、これら未着手の事業の進め方などについて検討していく。 
(2011/8/5)
建通新聞社 静岡支社