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建設経済新聞社
2011/08/25

【京都】左京区岡崎の京都会館再整備 発生残土は約3150m3見込む 工期は解体含め約21ヵ月

 京都市は、左京区岡崎の京都会館の再整備事業について、環境に与える影響を評価してとりまとめた。
 市は、座席数2000席以上、第1ホールにおける舞台高さ27m以上、舞台奥行き20m以上、プロセニアム(舞台開口部)の高さ12mを確保することを基本条件に、〈第1ホールのみ解体し同じ位置にほぼ同規模で新築する第1案〉、〈第1ホールのみ解体するが解体範囲は舞台部分の最小限に留め第1ホールの残る部分は改修のみとする第2案〉の計2案を検討した。
 第1案は第1ホールすべてを解体するため工期が長くなり、解体期間5ヵ月と工事期間16ヵ月をあわせ21ヵ月を見込む。第2案は14ヵ月。
 第1案は解体後、新築するため屋上緑化を前提に設計を進めることができるが、第2案は全ての既存建物を改修する前提のため屋上緑化には防水の観点等限界があるとし、第1案を評価。景観では、第1案は第1ホールを解体し新たに新築するため既存建物が形成する景観に配慮した設計ができるとし、第2案は舞台規模を確保するためには舞台部分を西側に拡張する必要があるため既存建物が形成する景観に悪影響を与える恐れがあるとして、第1案を評価した。このほか、発生残土は第1案は約3150m3、第2案は約2700m3。
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 京都会館再整備事業は、開館から50年以上経過し、建物・設備全般にわたり老朽化が進行していることから、ホール機能の強化などを行うため再整備する。
 基本設計業務は、標準型プロポーザル(公募型)で業者選定中。9月中下旬頃に業者を決定する見通し。
第1ホール棟新築工事(延べ面積約8000u、ホール座席数約2000席、舞台奥行き約20m、舞台内高さ約27m、構造は未定。ただし基礎構造は大臣認定による免震構造)や、第2ホール及び会議室棟改修工事(延べ面積約6500u、ホール座席数約800席、舞台内高さは現況高さの拡大を検討)、設備工事(第1ホール、第2ホール及び会議室棟共)を行う。
 基本設計の完了後、市は実施設計と施工を一括で発注するデザイン・ビルド方式を採用し、当初は24年4月に入札公告する予定だったが、基本設計の業者選定がずれ込んだため、公告時期も若干ずれ込む模様。概算建設費は約89億円(このうち第1ホールの改築費47億4000万円)を見込む。
 また市は京都会館を含む岡崎地域で高さ規制緩和など都市計画法上の手続きを進めていく。京都会館は高さ31mまで緩和される予定。
 このほか、岡崎地域では次世代の環境・エネルギー技術の導入に向け検討が進められている。京都会館は会議棟屋上部分を活用し、屋上緑化や太陽電池パネル(25kw程度、約200u)の設置、LED照明の導入を検討する一方、京都市動物園を含め「ゼロ・エミッション・ストリート」と位置づけ、岡崎公園駐車場のEV(電気自動車)充電設備の整備、小型風力発電や蓄電池を使ったLED照明の設置、アスファルト緑化歩道など最新の環境技術の導入を模索している。経済産業省のスマートコミュニティ構想普及支援事業に応募し、岡崎地域全体での研究テーマの事業可能性調査を行う方針。
 現在の京都会館は建築家前川國男氏(前川國男建築設計事務所)が設計コンペで受託しデザイン。施工は大成建設。規模はRC造一部S造地下1階地上4階建(塔屋1階)、延1万4547・41u(建築面積7914・10u)。