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福島建設工業新聞社
2011/09/22

【福島】被災者向けモデル住宅でコンペ/県が地域連携グループ対象に

 県は、震災被災者の生活再建に向けた「モデル住宅プラン」の作成に入りたい考えで9月補正案に予算要求している。被災者に対し、良質で低価格な木造住宅供給が狙い。プラン作成に当たっては、公募型プロポーザル競技を団体に委託して実施する考え。本県の応急仮設住宅建設の際に培った県内建設事業者の連携を生かし金融、保険も加えたグループを対象とすることでワンストップサービスによる質の高い住宅を提供していく。議決後の10月中旬の公募開始に向け詳細を詰める。
 「被災者の生活再建に向けた住まい作りの支援」として、本県独自住宅供給システム構築とモデル住宅プラン作成で1200万円を要求している。
 本県が進めてきた年間2000億円もの住宅投資を地域の中で循環させ経済効果につなげようとする地域循環型の住まいづくり政策に沿ったもの。これまでに県と設計、施工、資材生産各者が協力し、県版木造住宅仕様書や耐震診断、改修手引きを作成。昨年度からは長期優良住宅についても手引きを作成し10、11月には講習会を開く。
 農林サイドでも、16年度ごろから、いわゆる川上から川下まで連携し県産木材を利用する「顔の見える木材での家づくり」を進めており、現在も各地で活動が続く。
 今回の震災後の対応では、これまでその性能は知られていたが、コストや工期面から実現不可能とされていた木造での応急仮設住宅建設について設計、施工、林業、資材関係の事業者連携で5000戸強を完成させた実績があり、各方面で高く評価されている。
 こうした「グループ力」を生かし、被災者の住宅再建と住宅関連産業の復興に役立て、さらには地域経済の復興につなげる。ただ、ユーザー側にとって、資金計画や施工トラブルへの対応など「面倒な諸手続き」も一括して行うサービスが必要なことから、これら地域の住宅産業の結び付きに加え行政書士、ファイナンシャルプランナー、銀行などが協力しワンストップサービスで提供する仕組みが必要となる。
 モデル住宅作成に当たってのプロポーザルは低価格、高齢者対応、省エネルギー性能、長寿命を踏まえたプランを考察することとなるが、この応募対象をこれら事業者グループとすることで、連携を加速させる。
 日銀福島支店が12日発表した県内住宅投資の現状と今後の課題についてのレポートでは「本県は原発事故要因から復興の動きが鈍い」としながらも、阪神淡路大震災の例から半年以降の復興需要を推測。震災による喪失分と半壊等を含めた1・7万戸以上のリフォーム等による経済効果が見込まれるとしており、こうした需要をいかに地域で受け止めることができるかが課題となっている。
 既に住宅関係12団体に県が参加し、建築関係団体が連携し地域循環型の生産体制を構築する「県地域型復興住宅連絡会議」も発足している。