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建通新聞社(神奈川)
2011/10/21

【神奈川】適切な森林整備推進

 神奈川県は、丹沢大山地域の生態系を回復し、健全な状態を保つための施策を盛り込んだ第2期「丹沢大山自然再生計画」の素案をまとめた。計画期間を2012〜16年度の5カ年に設定。特定課題を八つに整理した上で、各施策の基本方向と実施する事業などを記した。この中で、適切な森林管理や県産木材の有効活用、間伐や木材搬出のための作業道の整備、(治山、砂防事業などによる)ダム湖の堆積抑制のための土砂流入防止対策などを示した。今後、議会での議論や県民意見の募集などを経て計画案を作成し、市民団体や学識者、企業、行政などでつくる丹沢大山自然再生委員会に報告。12年4月の計画スタートに向けて検討を進める。
 丹沢大山の自然再生に関連する政策を総合的に進めるための実行計画。対象は、丹沢大山国定公園区域と県立丹沢大山自然公園区域を含む4市3町1村(相模原市緑区津久井地区、秦野市、厚木市、伊勢原市、松田町、山北町、愛川町、清川村)の市街化区域を除く区域で、面積は6万6548f。
 素案の柱には、ブナ林再生のための土壌保全事業や、人工林の整備、県産木材の有効活用、林道の改良、作業道の整備などを位置付けた。
 このほか、ダム湖の堆砂を抑制するための上流部での土砂流入防止対策や、渓畔林の整備による林床(森林の地表面)植生の回復と土砂流出対策、渓流生態系の調査と保全再生に向けた手法の検討などを盛り込んだ。
 今月から11月にかけて素案のパブリックコメントを実施。12月に丹沢大山自然再生委員会に計画案を示す予定でいる。その後、12年2月に自然環境再生審議会と県議会第1回定例会環境農政常任委員会に報告。3月に計画をまとめる。
 丹沢大山では、手入れ不足の森林や農地が増加。近年はブナの立ち枯れや、シカの採食などによって林床植生が退行し、身近な大自然が失われつつある。そのため、丹沢大山総合調査実行委員会(現・丹沢大山自然再生委員会)が06年に「丹沢大山自然再生基本構想」をまとめた。
 県は、それに基づいて「丹沢大山自然再生計画」(07〜11年度、第1期計画)を策定。増えすぎたシカの密度を減らすとともに、森林がなくなってしまった場所に苗木を植えたり、下草が生え若木が育つように柵を作ったりして、ブナ林を再生する取り組みを進めてきた。
 このほか、土石流を捕捉し、ダム湖への流入を抑制するための砂防事業や、渓流域の植生を回復させるため、荒廃渓流に治山ダム工や護岸工などを設置する治水事業を実施した。「丹沢大山自然再生計画実施状況報告書」(11年3月)によると、07〜09年度までの3カ年で、砂防事業として山北町内の2渓流に砂防えん堤を各1基設置。今後さらに、「山北町内の1渓流で用地買収を行い、本工事着手に向けて事業の推進を図る」としている。