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建通新聞社(神奈川)
2011/11/11

【神奈川】神奈川県地域防災計画(地震災害対策計画)の見直し進む 12年度早期に修正へ 

 市町村の地域防災計画の指針となる神奈川県地域防災計画(地震災害対策計画)の見直しに向けた検討が、専門家や県・市町村でつくる委員会などで進められている。東日本大震災で明らかになった課題を分析した上で、津波、液状化対策をはじめ、津波警報の伝達方法など、ソフト・ハード両面の必要な対策を盛り込む方針だ。2012年度早期の修正を目指す。
 神奈川県地域防災計画は、国の防災行政の基本となる防災基本計画と連携し、各市町村防災会議が作る地域防災計画の指針となる。地震災害対策計画のほか、「風水害等災害対策計画」「原子力災害対策計画」で構成する。
 東日本大震災による被害の検証や、課題の洗い出しを行うため、県では現在、@津波対策推進会議A津波浸水想定検討部会B地震災害対策検証委員会C県・市町村地震災害対策検討会議―の四つの検討の場を設けている。
 まず、5月13日に設置した相模湾沿岸の津波規模などを再検証する「津波浸水想定検討部会」(部会長・柴山知也早稲田大学理工学術院教授)。県と神奈川県沿岸の16市町村から成る「津波対策推進会議」(2005年4月28日設置)の部会として、学識者や国、県などの担当者で構成する。9月2日には津波対策の基本的な考え方について中間取りまとめを行った。
 これまで対象としていた南関東地震など九つの地震を再検証するとともに、鎌倉大仏にまで至った明応4年(1495)の大津波も加え、11の地震を対象とし、海岸保全施設の整備などを含む対策を示した。
 引き続き東京湾、相模湾の津波高さと浸水範囲のシミュレーションを進めるとともに、今月中にも▽修正津波浸水予測図(案)▽海岸保全施設による対策の考え方(案)▽改訂版「津波ハザードマップ作成の手引き」(案)を示す方針だ。
 12月に県民から意見を募集(パブコメ)するとともに、12年2月の第4回会合で最終案を取りまとめ、3月末に見直しの内容を公表する。
 各自治体は、修正津波浸水予測図を参考に避難場所や避難経路などの防災情報を追加して津波ハザードマップを作成する。
 神奈川県地震災害対策検証委員会(座長・吉井博明東京経済大学教授)は、専門的な見地から神奈川県の地震災害対策を検証し、必要な対策を検討する組織として、11年6月13日に設置した。10月までに5回の会合を開き、津波対策や帰宅困難者対策、液状化対策などについて意見を交わした。11年度中に報告書をまとめ、知事に提言する。
 11年4月27日に設置した「県・市町村地震災害対策検討会議」は、東日本大震災で顕在化した地震対策上の課題などについて、県と市町村が対策を検討し、結果を共有することで県全体の防災力を強化するのが目的。県と市町村の防災主管課長で構成する。
 災害発生被害情報などの受伝達体制の再構築、帰宅困難者用一時受け入れ施設の確保、被災地支援に向けた役割分担の明確化、マニュアル化などを検討事項に挙げている。
 これらの会議での検証・検討結果を地域防災計画に反映する。
 「ハード・ソフト対策を組み合わせた円滑な避難行動につながる施策の実施」を政府に求めた、国(中央防災会議)の専門調査会の最終報告(9月28日)も踏まえ、地域防災計画の修正案を作成。12年度早期に開く県防災会議(会長、黒岩祐治神奈川県知事)で決定する。