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北海道建設新聞社
2011/11/22

【北海道】登別港線でコンクリート舗装採用−室蘭建管が耐久性など検証へ

 室蘭建管は、登別市内を走る登別港線の舗装打ち替えにコンクリート舗装を採用した。耐久性の観点から試験施工したもので、併せて施したアスファルト舗装と比較検証する。17日には、同舗装の普及促進を図っているセメント協会の案内で現場を公開。工事を請け負っている大成ロテックが施工状況を紹介した。
 コンクリート舗装は、欧米諸国では恒久舗装として使用割合が高いが、国内の道路ではトンネル内で用いられている以外、土工部(明かり部)ではほとんど使われていないのが現状。高い耐久性があるものの、通行開始までに日数を要することや、地下埋設物工事への対応の難しさ、割高な施工コストなどが背景にある。
 しかし、環境負荷の低減や、社会資本施設の長寿命化、維持管理の合理化、財政的制約などで、その有効性が見直されている。
 室蘭建管は今回、沿線にコンクリート製品工場があり、重量物積載車両の通行が多いことから試験施工の対象に選んだ。延長180mうち90m、600m²で施す。9月に発注し、工期は12月12日までとなっている。
 普通コンクリート舗装工法で、普通ポルトランドセメントを使用。材料は建築と同じだが、圧縮強度が求められる建築用とは違い、曲げ強度に適応する配合としている。
 路盤の上に厚さ25cmにわたりコンクリートを打設。長さ10m、片側3・75mのサイズで一つの版になるようにして目地割りする。打設の際には、左右車線の版を連結する「タイバー」、前後の版に荷重を伝達する「スリップバー」といわれる鉄筋と、万が一ひび割れが生じた場合に、ひびの拡大と破片の飛散を防ぐ金網を1層目と2層目の間に埋め込む。
 打設しながら敷きならし、施工上のポイントである締め固めの工程に進む。この現場では、大成ロテックが開発した専用の機械を投入。手動でウインチを回して移動する車線幅のバイブレーター装置で、大型機械を使用することなく、均一で効率性の高い作業を可能にした。締めた後は表面を整形し、ブラシをかけて粗面仕上げをするが、出来栄えを左右することから、技術が求められるという。
 片側車線の施工が終わり、完成後と工事中の比較ができた。大成ロテック北海道支社の種綿順一技術室長は「今回は人力での施工だが、大型機械を入れる手法もある。施工性はアスファルトの方が容易だが、技術的には決して難しいものではない」と説く。
 「交通開放まで10日程度要する工期の短縮。半日で開放できる工法もあるが、特殊機械でコストも高い」と課題を指摘するが、「アスファルトと比べて倍の耐久性があり、ライフサイクルコストは優位」と強調。セメントが国内自給で石油価格に左右されないことや、ヒートアイランドの抑制、夜間の視認性などもメリットとし、「暑さで舗装がたわみやすい交差点手前や高規格道路などで有効では」と話す。
 公開に立ち会った北海道生コンクリート工業組合の山内義明専務理事は「施行実績が積み上がっていけば、普及促進につながる」と期待を寄せている。
 室蘭建管は今回の試験施工を通じ、維持管理基準の検討、適する場所や工法の種類などについてアスファルトと比較し、長所や短所を整理する方針だ。