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建通新聞社
2011/12/14

【大阪】大阪府 中之島図書館の耐震補強 2012年度着工へ 文建協で基本設計進む

 国の重要文化財で、大阪のシンボルでもある中之島図書館の耐震補強工事が2012年度に始まる見通しだ。大阪府教育委員会は、文化財建造物保存技術協会大阪支部で耐震補強の基本設計(基本構想含む)を進めており、2012年度当初予算の編成に際して、実施設計と工事費の一部を予算要求する考え。
 場所は大阪市北区中之島1−2−10。建物は、組積造(レンガ)3階建て延べ6,897u。1904年に第15代住友吉左衛門氏の寄付でつくられた。造計は住友家の建築技師長の野口孫市氏。外観はルネッサンス様式、内部空間はバロック様式が基本。コリント式円柱に支えられる正面はギリシア神殿を、ドーム状の中央ホールは教会を思わせる造り。22年に左右の両翼が増築され、ほぼ現在の建物が完成。74年に本館と左右両翼の2棟が国の重要文化財に指定された。
 老朽化による耐震性不足が懸念され、2009年度に耐震診断を実施。この結果、耐震性不足が明らかになったため、耐震補強工事を計画。11年度予算で基本設計費を予算化した。
 重要文化財に指定されているのは、延べ6,897uのうち、書庫の一部(延べ約2,000u)と閲覧室(延べ約1,700u)。耐震補強は、この指定部分を先行させる。補強方式は、部分的に実施設計を行いこの部分を施工。この結果を参考に次の実施設計と施工を繰り返す文化財特有の方式を予定する。12〜13年度で文化財部分の耐震補強を完了。
 文化財に指定されていない事務棟、電気室、書庫などは14年度から補強工事を行い、15年度で全体を完了する計画だ。
 原則的には、一連の工事を開館しながら施工する。