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建通新聞社(静岡)
2011/12/26

【静岡】静岡県営3団地モデルに津波対策の性能評価 4次想定の策定にらみシミュレーション

 県有施設は津波に耐えられるのか―。東日本大震災の津波で避難ビルに指定されていた建築物に大きな被害が発生したことを踏まえ、静岡県は、県営3団地をモデルとした「津波に対する性能評価」に乗り出した。国土交通省が11月に都道府県に通知した技術的助言(津波に対し構造耐力上安全な建築物の設計法等に係る追加的知見)を踏まえた対応で、県による第4次地震被害想定の策定に備え、県営団地の津波に対する安全度をシミュレーションし、県有施設の津波対策を考える際の基礎資料とする。
 東日本大震災での津波被害を受け、国交省は、津波に対し構造耐力上安全な建築物の在り方を検討。現時点で得られている技術的知見を集約し、都道府県が津波避難態勢の整備や建築基準法に基づく災害危険区域の指定などに活用できるよう技術的助言を示した。
 例えば、津波荷重の設定を合理化する手法として、従来は浸水深の3倍の静水圧で計算していたものを、堤防や前面建築物などによる軽減効果が見込まれる場合は2倍、さらに海岸などからの距離が500b以上離れている場合は1倍で計算することにした。
 災害危険区域に係る建築制限の考え方では、想定される設計用浸水深に耐えられる建築物の規模を構造別に提示。堤防などによる軽減効果があり、海岸などからの距離が500b以内の鉄筋コンクリート構造物の場合、設計浸水深が10bで5階建て(高さ18b)、設計浸水深15bで7階建て(高さ25b)の規模が必要としている。
 県はこの助言を踏まえ、▽千本団地(沼津市西間門574ノ9、鉄筋コンクリート造4階建て36戸)▽興津団地(静岡市清水区興津中町625ノ1、鉄筋コンクリート造5階建て350戸)▽田尻団地(焼津市すみれ台1ノ11ほか、鉄筋コンクリート造4〜5階建て398戸)―の県営3団地をモデルに、津波に対する性能を確認することとした。
 千本団地は住棟全体、興津団地と田尻団地では住棟の中から数棟を抽出。防潮堤や周辺の構造物など津波被害の軽減効果のある遮蔽(しゃへい)物などを考慮し、県の第3次被害想定に基づく津波高や、これを上回る規模の津波高が発生した場合に建物に与える影響などをシミュレーションする。
 県では、国の中央防災会議による東海・東南海・南海の3連動地震の被害想定を踏まえ、12年度中に第4次被害想定を策定する方針でおり、今回の評価結果を、ほかの県有施設の対策を検討する際の基礎資料とする。
 業務は静岡県建築士事務所協会(静岡市葵区)が担当し、11年度末までにまとめる。
(2011/12/26)
建通新聞社 静岡支社