トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

北海道建設新聞社
2012/01/06

【北海道】苫小牧沖のCCS実証実験、12年度から開始へ−施設整備に300-400億円 

 経済産業省は、工場から出る排ガスからCObを回収し、地中深くに封じ込める技術(CCS)を確立するため、2012年度から苫小牧沖で実証実験を開始する方針を固めた。3月末までに実験の主体となる事業者を公募で決定。実験期間はおおむね9年間を見込み、前半の3年半で必要な施設を整備する。施設整備には300億―400億円を投じる計画で、12年度予算案に事業費102億円を盛り込んでいる。
 20年度をめどに国内でのCCSの実用化を目指す経産省は、10年から日本CCS調査(本社・東京)に依頼し、苫小牧沖と福島県いわき沖、福岡県北九州沖の3カ所で、実験の適地かどうかを調べる可能性調査を開始。学識者による専門検討会(座長・山地憲治東大名誉教授)が12月中旬に開いた最終会合で、東日本大震災の影響により調査が中断状態にあるいわき沖や、地質の基礎データが不足している北九州沖よりも苫小牧沖が適地であるとの結論に至った。これにより、12年度からの実験開始が確定した。
 苫小牧沖では、製油所の排ガスからCObを取り除く計画。実験期間前半の3年半で実験に必要な施設を整備し、残りの期間で技術を確立する。
 実験には、回収したCObを運ぶためのパイプラインや、CObを圧力によって地中に封じ込めるコンプレッサーなどの施設が必要となる。経産省では、これら施設の整備に300億―400億円を見込んでいる。施設整備が終われば、毎年度の予算は十数億円程度に縮小するとしている。
 12年度予算案には、CCS技術確立のための事業費102億3000万円が盛り込まれ、大半が苫小牧沖の実験に投じられる。苫小牧沖では、施設の設計と一部施設の整備が進む見通し。
 経産省は、近く苫小牧沖での実験開始を正式決定し、3月末までに実験全体をマネジメントする事業者を公募で選ぶ。設計から調達、建設までの業務全般を担うEPC契約を事業者と結ぶ可能性があるとしている。
 苫小牧沖での実験開始をめぐっては、大きな経済効果が見込まれるとして、地元苫小牧市が誘致活動を積極的に進めてきた経緯がある。10年4月には市や商工会議所、漁協、NPO法人のほか、出光興産、王子製紙、JX日鉱日石エネルギーといった大手企業で構成する苫小牧CCS促進協議会が設立されている。