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北海道建設新聞社
2012/02/15

【北海道】後志管内、遅れる役場庁舎耐震化−13市町村が未着手 

 後志管内20市町村のうち、13市町村が耐震性不明、もしくは耐震化未着手の役場庁舎を抱えている。庁舎は災害時に地域の防災拠点となるだけに、岩内町は移転新築を、真狩村は補強をそれぞれ計画し、喜茂別、黒松内の2町は、防災拠点としての機能を持つ代替施設の建設を構想。このほか留寿都村などは数年以内に耐震診断に着手する予定だが、対応未定の自治体も小樽市など5市町村に上っている。
 旧耐震基準下で建設された役場庁舎を持つのは、管内に16市町村ある。この中で、寿都町と京極町は既に補強を終え、余市町は診断の結果、現行基準を満たしていることを確認している。
 残る13市町村のうち、診断によりIs値(構造耐震指標)が基準値未満と判定されているのは岩内、積丹、ニセコ、真狩、赤井川の5町村。
 管内で唯一、改築計画を具体化している岩内町は、現在地からほど近い岩内東小跡地に13年度着工を予定。進行中の基本設計では、規模をRC造、3階、延べ4750m²としている。概算工事費には14億7000万円を試算。12年度の実施設計を経て、13―14年度の2カ年で建設し、15年5月の供用を目指す。
 真狩村は12年度に約1億8000万円を投じ、震度7強以上にも耐えられるよう庁舎を補強する。対象は増築部を除く1176m²で、老朽化した電気設備の更新や内部改修も予定している。
 ニセコ町は、11年度の診断でY方向の耐震性に問題ありとの判定が出たことを受け、12年度は基本設計を進めて今後の対応を検討する方針。積丹町と赤井川村の2町村は、未定となっている。
 このほかの市町村を見ると、本庁舎が未確認に該当する黒松内町は、現段階で耐震化する考えはないが、災害発生を想定し、高台に仮称・防災センターを設けることを計画。各種サーバー類やセキュリティー機器システムのみをセンターに移転させ災害から守ることで、被災時の機能維持を図る。具体的な素案づくりは今後取り掛かる。
 同じく喜茂別町も、庁舎の耐震化は未定ながら、災害時の防災拠点としても活用できる複合的な代替施設を構想している。
 留寿都村は、12年度に役場庁舎を含めた公共施設の老朽化度合いなどを調査し、データベース化する作業に着手。その結果を踏まえ、13年度に耐震診断を実施する予定。12年度に診断を予定する倶知安町は、耐震性の有無を見てから今後の在り方を検討する。
 これら以外の自治体では耐震化に向けた具体的な動きに乏しく、中には診断時期の見通しすら立っていないところもある。
 東日本大震災の経験を踏まえ、有事に対策拠点としての機能を担う役場庁舎の耐震性向上は急務。しかしそれが全体に波及しない背景には「診断を実施しても、財源に裏付けがないので建て替えなどの具体化に踏み切れない」という声が象徴するように、厳しい財政事情が垣間見えている。