トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(神奈川)
2012/03/01

【神奈川】太陽光発電設備 市民ファンドによる設置提言

 神奈川県の「かながわスマートエネルギー構想」の推進に向けた検討を進めている、かながわソーラープロジェクト研究会(会長・村沢義久東京大学総長室アドバイザー)は、太陽光発電設備の住宅(一戸建て、共同)や公共施設への設置促進、メガソーラーの誘致・設置促進策などを盛り込んだ最終報告書をまとめた。昨年の第1次・第2次報告書の内容に加え、公共施設や民間の工場などの屋根に、市民出資によって太陽光発電設備を設置する「屋根貸し」方式の事業スキームを提言した。まず、県有施設で先行することとし、設置可能な県有施設をできる限り早期に抽出した上で、太陽光発電事業を営む民間事業者を公募するよう提言した。
 昨年12月、かながわスマートエネルギー構想の中心となる太陽光発電の普及拡大に向け、住宅用太陽光発電設備の設置費用を軽減するための「かながわソーラーバンクシステム」がスタート。2012年度当初予算案には、「共同住宅太陽光発電設備設置費補助」や「愛川メガソーラー整備事業」(企業庁)の費用を盛り込むなど、提言を踏まえた取り組みをすでに進めている。
 今回の最終報告書には、「市民ファンドによる太陽光発電の設置促進策」を盛り込んだ。民間事業者が県民や企業から広く出資を募る市民ファンドを導入し、公共施設や工場などの「屋根貸し」を受け、数十万`h〜数百万`h程度の規模の太陽発電施設を設置。売電収入を、施設の賃借料や出資者への配当に充てる仕組み。
 県の役割として、まず県有施設への屋根貸しを検討するよう求めた。その際、「市民ファンドの造成」を条件に明記した上で、太陽光発電事業を営む民間事業者を公募すべきだとした。また、工場や商業施設などの大規模民間施設の屋根貸しについては、希望する施設所有者の募集・公表を通じて、民間事業者の発電事業への参入を促すよう提言。
 市民ファンドの資金調達方法(投資スキーム)は、出資へのハードルが低い「匿名組合」が最も効果的な方法だとした。匿名組合は、「匿名組合員が(匿名組合の)営業者に出資し、その経営を営業者に委ね、組合員がその利益配分を受ける契約」と説明している。
 今後の取り組みとして、できる限り早期に具体的な事業スキームや、太陽光発電事業を営む事業者の公募方法を検討し、市民ファンドを造成するよう提案した。