トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社
2012/03/08

【大阪】下水管路網を新エネに NEDOなどが千島下水処理場で実証試験 効率は1.5倍に

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)などは、次世代型ヒートポンプシステム研究開発プロジェクトの一環として、大阪市の千島下水処理場で都市域の下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術の実証試験設備を完成、運転を開始した。
 7日には記者会見を開催。実験に協力している中尾正喜大阪市立大学大学院工学研究科教授は、「このシステムを普及させ、全国で年間50万`gの原油消費削減を目指したい」と語った。
 NEDOの次世代型ヒートポンプシステム研究開発プロジェクトは、2011年度に7億8,000万円の事業費で、全国6事業を展開している。千島下水処理場(大阪市大正区小林東2−5−59)での実験は、大阪市立大学、総合設備コンサルタント、中央復建コンサルタンツ、関西電力−が共同で行っているもので、11年度事業費は約1億円。
 ビルなどの給湯で、加熱量の30〜40%が下水道に流れる。今回の実験は、これを未利用の熱源ととらえる。冬季は外気よりも水温が高く、夏季の昼間では外気よりも水温が低いという特徴を生かして、従来のガスや油炊きボイラーに代わる給湯用・暖房用ヒートポンプの熱源水、冷房用の冷却水としての活用するもの。
 大阪市北区堂島に実在するホテル・データセンターを含めた地区を想定したシステムを千島下水処理場で実験し、熱交換器の性能評価や耐久性評価を行う。
 同地区のシミュレーションで原油換算で年間約233`gの削減を目指す。ヒートポンプの総合効率は現状と比較して1.5倍以上となる見通し。
 今回稼働した実証試験設備は第1期。今後、春季までの実証運転を行い、システムを実証。夏季には第2期の試験設備を追加構築し、秋季と冬季の実証試験を開始する予定。
 想定する適用地区での導入が実現すれば、合計で原油換算で、年間50万`gの省エネとなる見通しだ。