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建通新聞社(中部)
2012/03/16

【愛知】県企業庁 豊田・岡崎地区の造成事業 4月早々にも一部発注

 愛知県企業庁は豊田市と岡崎市にまたがる区域でトヨタ自動車の新研究開発施設用地を開発する「豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業」を進めており、4月早々にも東工区のおよそ東半分の造成工事を発注する見込みだ。同案件はWTO対象案件となる。
 2012年度については、東工区の東半分のほかに中工区の造成工事の発注を予定している。中工区については区域内に保安林が含まれているため保安林解除に向けて林野庁との協議を進める必要があり、解除の手続きが完了し次第、発注する計画だ。中工区もWTO対象案件となる。
 東工区の残り西半分については1〜2年後に、西工区は17年度ごろに発注する見込みだ。
 同事業は、愛知県企業庁が事業者となり、豊田市蕪木町、下山田代町、田折町、蘭町(旧下山村)、岡崎市冨尾町、保久町、外山町(旧額田町)にまたがる地域で、トヨタ自動車の新研究開発施設用地を開発する。面積は約650・8fで、このうち研究開発施設用地や道路、造成緑地などを改変する区域は約264・3f、残りの約386・5fを残置森林、耕作地といった用地造成などの土地改変をしない非改変区域とする。
 改変区域約264・3fのうち、施設用地となるのは159・2fで、内訳はテストコース(周回路、高速評価路、評価路、坂路、カントリー路、車両準備場、試験車車庫など)113・3f、研究開発施設(シャシダイナモ、天候試験室、耐久試験設備、安全性能試験設備、防音材試験設備、計測・データ整理室などを備える実験棟、物流棟・保安棟・事務管理棟、原動力棟、実験棟・車両整備棟、排水処理施設・原動力棟など)41・3f、厚生施設(厚生施設、体育館等)1・9f、環境学習施設など(環境学習センター、管理倉庫棟)2・7fとなる。
 またインフラ関係の道路(公道)は5・2f、管理用道路(維持管理用)は1・9f、調整池など16・2f、造成緑地81・8fとなる。
 対象事業実施区域の西側に研究開発施設など、東側には主にテストコースなどを配置する計画。また、施設で使用するエネルギーは、電気と天然ガスを使用するほか、コージェネレーションシステムを設置し天然ガス発電で生じた排熱を利用する。
 豊田・岡崎地区研究開発施設用地造成事業の工事の概要としては、工事区域を地形および土地利用から西工区、中工区、東工区の3工区に分け工区ごとに工事を実施し、これにより合計1270万立方bの切り土・盛り土が発生するが、原則として工区ごとに切り土と盛り土のバランスを取っているため事業区域外との土砂の搬出入はない。
 東工区の工区面積は365・4fで、このうち153・7fを改変、盛り土・切り土量は867万立方b。造成法面は盛り土部は14・1f、切り土部は5・6f。主な構造物としては橋梁を3カ所、トンネルを1カ所、調整池を7カ所整備する。
 中工区の工区面積は、177・8fで、このうち72・4fを改変、盛り土・切り土量は192万立方b。造成法面は盛り土部11・3f、切り土部8・8f。主な構造物としては橋梁を9カ所、トンネルを1カ所、調整池を10カ所に設ける。
 西工区の工区面積は、107・6fで、このうち40・3fを改変、盛り土・切り土量は206万立方b。造成法面は盛り土部が6・2f、切り土部は5・6f。主な構造物としては橋梁を3カ所、調整池を4カ所に設ける。用地造成工事で想定される工事は土工事、調整池工事、橋梁・トンネル工事、法面工事、排水路工事、緑化工事など。
 愛知県企業庁の実施する用地造成工事の期間は約8年間を予定しており、東工区から着手し続いて中工区、西工区と進める。東工区は全体で約6年、中工区は約5年、西工区は約3年程度の工期を要する。
 トヨタ自動車の進める施設建設工事は造成工事着工後6年目から順次着工していく予定で、建築工事のほかに舗装工事、修景・緑化工事などが見込まれる。施設は完成したものから順次供用していくが、すべての施設の完成は造成工事着工後約13年を予定している。
 同事業は2月下旬まで環境影響評価評価書の公告・縦覧を終えている。これら環境影響評価手続きと並行して測量調査と造成設計をニュージェック中部支店(名古屋市中村区)が実施した。
 トヨタ自動車は、県企業庁と共同で構想段階から環境配慮の検討を行っている。環境影響の回避・低減の観点から、土地利用構想を大幅に見直し、施設規模を最大限縮小した。また、方法書以降も環境配慮の検討を続け、テストコースの一部トンネル化や橋梁化など地形形状に合わせた変更などを行ってきた。