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建通新聞社(東京)
2012/03/16

【東京】 避難所などへの水道供給ルート耐震化を優先

 東京都水道局は、災害時に被災者や帰宅困難者が集まる「避難所」「主要駅」などへの水道供給ルートの耐震化を優先的に進める。東日本大震災に伴う被災地の断水被害などを踏まえた対応で、約2600カ所の対象施設につながる供給ルートのうち、末端の給水管の耐震化を先行実施する構え。私道内給水管の耐震化に続く新たな施策となる。
 水道局は現在、首都直下地震などに備え、救急医療機関や首都中枢機関といった重要施設353カ所への水道供給ルートの耐震化を進めている。管路延長は約160`。2007年度にスタートし、10年度末時点で46%に当たる72`の整備を終えた。16年度の完成を目指している。
 10〜19年度を期間とする管路の耐震継手化緊急10カ年事業にも取り組んでいる。
 一方、東日本大震災に伴う被災地の断水は200万戸を超え、避難所でも水の確保に苦慮したという。
 都内では450カ所の漏水被害の75%が給水管で起こったことなどから、水道局は昨年、私道に敷設してある塩化ビニル製給水管約850`の耐震化を決定。12年度上期からステンレス管への取り替えを開始する。事業費は約700億円を見込んでいる。
 また、開会中の11年第1回都議会定例会に上程した帰宅困難者対策条例案は、大規模災害が発生した際、駅・集客施設・学校などに利用者や児童生徒の保護を求める。このため、避難所などの断水被害を最小限にとどめる対策が不可欠となっていた。
 14日の都議会予算特別委員会で増子敦水道局長は、水道供給ルートの耐震化に関する取り組みを問われ、「首都直下地震の切迫性を踏まえ、重要施設に加え、避難所や主要な駅約2600カ所についても耐震化を優先的に推進する」と答弁。給水を着実に確保するため、供給ルートの中で「配水管の分岐部分から水道メーターまでの給水管の耐震化を先行して実施する」との方針を示した。
 今後は13年度に始まる次期経営計画への位置付けなども視野に入れながら、事業の中身を具体化することになりそうだ。