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建通新聞社(中部)
2012/05/02

【愛知】瀬戸市 庁舎再整備の設計コンペ 久米設計を特定

 瀬戸市は、「市庁舎再整備事業」の設計者選定エスキスコンペを審査した結果、最優秀者に久米設計(名古屋市中村区)を特定した。行政需要への柔軟な対応力や、省エネルギーの実効性などを評価した。5月末の委託をめどに契約手続きを進める。
 久米設計の評価理由として▽新旧庁舎結合部に建物コアを配置することで効率的な動線を確保し、行政需要の変化に柔軟に対応できること▽省エネ対応に実効性があり、災害時にも中枢拠点としてライフラインを継続的に供給できること▽市民サービスを継続しながら早期に庁舎整備を行う建設スキームが明確に示されていること―などを挙げている。
 同事業の内容は、南棟と北棟に分かれる既存庁舎の北側敷地内に新庁舎を建設し、北棟を改修、南棟を解体撤去する。撤去後の南棟跡地は駐車場などとしての有効活用を検討している。
 久米設計の提案は、コンセプトを「市民生活を確実に守り続ける―防災拠点となるLCB(生活継続建物)対応庁舎の実現」とし、@シビックスクエア(中庭)を中心に据えた明快な施設構成A防災対策拠点としてのBCP(事業継続性)を実践B新旧庁舎との連携による効率的な庁舎CECO庁舎―などを盛り込んだ。
 @では、シビックスクエアを囲む一体構成とし施設内連携を高める。旧庁舎と床面をフラットにそろえ、安全に水平移動できる歩行環境やバリアフリー対策を行う。
 Aでは、電気設備を屋上に配置し想定外の浸水に備える。防災広場の確保や新庁舎と既存庁舎を屋内通路で結び免震エキスパンションジョイントで接続する。受水槽は緊急遮断弁を設置する。防災広場に仮設トイレとなる汚水マンホールを設置する。
 Bでは、建築躯体や内外装材・設備機器に、耐候性・自浄作用のある材料や高耐久機器を採用する。外装は断熱サッシや複層ガラスを使用する。照明はLED照明、人感センサーなどの採用。省エネルギー型の設備システムを採用する。
 Cでは、太陽光集光システム、太陽光パネル、屋上緑化、アースピットによる地熱の利用など自然の恵みを取り入れた低炭素庁舎とすることなどを盛り込んでいる。
 新庁舎の構造などは未定だが、延べ6390平方b程度を確保する。改修する北棟は鉄骨鉄筋コンクリート造6階建て延べ6210平方bで、1、2階部分に耐震ブレスによる補強などを実施する。
 今後のスケジュールは設計の契約後、基本・実施設計を2013年5月までに完了させ、新庁舎棟建設に14年7月ごろ着手、15年12月の完成を目指す。引き続き既存北庁舎の耐震補強などの改修工事や外溝工事に16年1月に着手する。17年2月の事業完了を予定している。
 また、コンペ結果で次点の優秀者は日本設計(名古屋市中区)だった。久米設計との契約が成立しなかった場合は日本設計が採用となる。