トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2012/05/14

【愛知】中部地整 中部圏防災拠点の検討開始

 東海・東南海・南海地震の発生をにらみ、中部圏での基幹的広域防災拠点の整備と複数の防災拠点のネットワーク形成についての検討がスタートした。学識経験者や自治体関係者らを交えて国土交通省中部地方整備局が設置した検討会が10日、1回目の会合を開いた。日本の三大都市圏のうち首都圏と近畿圏では既に国の基幹的広域防災拠点が設置されており、中部圏での拠点整備の具体化が急務となっている。
 設置した検討会は「防災拠点のネットワーク形成に向けた検討会」。第1回会合で、名古屋大学減災連携研究センター長の福和伸夫教授を座長に選出した。自治体では、愛知・岐阜・三重・静岡・長野の5県と、名古屋市など政令市が参加している。9月ごろをめどに拠点の配置を含む計画を策定・公表、その後も継続して事業手法などの検討を進める。
 緊急物資輸送などに使う基幹的広域防災拠点はこれまでに、大都市圏のうち首都圏では有明の丘(東京都江東区)など2カ所、近畿圏では境泉北港堺2区(大阪府堺市)の1カ所に整備されている。しかし、中部圏では未整備の状況。
 一方、「名古屋圏域防災ネットワーク整備基本構想」を、愛知・岐阜・三重・静岡の4県と名古屋市を対象エリアに、2004年7月に策定した経緯がある。今回の検討は、同構想などを踏まえて進めることになる。
 同基本構想では、道路交通の結節点となる高速道路のインターチェンジ付近や、港湾の周辺地域など15ゾーンに広域防災拠点を配置。このうち「名古屋空港周辺」と「名古屋港周辺」の2ゾーンに中核的な防災拠点を整備するとしている。
 同構想の策定後に発生した東日本大震災や、東海地震などの3連動の可能性、第2東名の開通、首都圏と近畿圏の基幹的防災拠点の存在などに留意し、ハードとソフトの両面から新たな防災拠点の整備計画を検討する。首都直下地震が発生した場合のバックアップ機能も視野に入れている。
 同日の検討会では、愛知県がコア拠点を名古屋空港周辺または三の丸地区(名古屋市中区)に置く案と、両地区をコア拠点にする案を示した。
 また、静岡県は、発生する地震によって最も大きな被害が想定される地区にそれぞれ広域防災拠点を整備する案を提示。東海地震では静岡県、東南海地震では愛知県と大阪府、南海地震では四国に拠点を整備することを国に求めるべきとした。