トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2012/05/21

【愛知】県 本年度は6市町村で地籍調査

 東日本大震災を契機に、地籍調査の重要性が見直されてきた。愛知県内では2012年度、豊田市、西尾市、清須市、みよし市、飛島村、設楽町の6市町村が地籍調査を進める。しかし県内の地籍調査の進捗率は、1月時点で12・1%にとどまっており、全国的にも低い状況。県は各自治体に地籍調査の実施を呼び掛けるとともに、調査の必要性を市民にアピールし、進捗率を高めていく考えだ。
 地籍調査は、国土調査法に基づいて土地の境界を画定し、所有者や地番を明確化するもの。しかし、現在登記所にある地図は明治時代の地租改正によって作られたものが多く、土地の境界が不明確で測量も不正確なため、正しく情報を把握することができない。
 不正確な地籍では、土地取引を円滑に進めることができないほか、土地の権利関係を調整するのに時間を要するため、災害が起こった後の復旧も困難になる。東日本大震災の被災地でも、地籍調査を実施している地域と未実施の地域で復興のスピードに差が出ている。
 最新の測量技術はGPS(全地球測位システム)を用いており、GPS測量で作成した地籍図は、災害などで境界杭が消失しても正確な位置を簡単に復元することができる。
 土地区画整理事業や土地改良事業などが行われた地域では、地籍調査と同程度の精度で測量を行っているため、国土調査法19条5項の指定を受けることにより、地籍調査実施済みの地域として取り扱うことができる。
 県内で調査を要する地域の面積は約4919平方`b。このうち19条5項の指定を受けた地域を含め、調査実施済みの面積は594平方`bにとどまっている。
 都心部は地権者の権利意識が高く、また土地の一筆が細かく分かれているため、境界の画定に時間を要する。そのため、愛知県を含めた都心部は全国的に地籍調査の実施率が低い状況にある。
 県内では、23市町村が地籍調査に未着手。25市町村は、1950〜60年代に実施しており、現在は休止中。各市町村も調査の必要性は認識しているものの、調査に乗り出す態勢が整っていないところが多い。
 県の担当部署では、「防災上の観点からも地籍調査の重要性を訴えていきたい」としている。