トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社四国
2012/05/22

【香川】建築設計の落札率は77・8% 11年度県発注

 2011年度に香川県が発注した建築設計の予定価格に対する落札率は77.8%だったことが建通新聞社の調査で明らかとなった。これは工事の落札率92.4%に対して約15ポイント低くなっており、価格競争が顕著になっていることがうかがえる。調査は、営繕課(旧建築課)が11年度中に発注した建築設計94件を対象に実施した。
 調査件数は94件。落札率帯別(表)では40%台が4件あるなど、7割り未満が32件あり全体の34%を占め、8割り未満では全体の過半となる53.1%を占める。
 落札者数が最も多いのは90%台で29件、次いで60%台の21件となっている。
 過度の低価格応札の要因は、受注機会確保の逼迫(ひっぱく)もさることながら、最低制限価格の設定がなされていないことも要因の一つとなっている。
 低価格応札を懸念し、香川県建築士事務所協会では「適正な競争を確保し、適正に業務を履行するため。さらに健全な建築士事務所経営の維持のため」として最低限の方策を求め、11年12月に香川県建設産業団体連合会を通じて香川県に最低制限価格制度の導入を要望している。
 従来、最低制限価格の設定は「工事または製造の請負の契約」に限定されていたが、02年3月の地方自治法施行令の改正により、業務委託にも拡大できるようになっている。
 それに対し、県は「本県では建築設計など委託業務については、最低制限価格制度を導入していませんが、低入札価格調査制度(低入調査)を採用しています」と尾崎真吾営繕課長は語る。
 しかし、県が1996年度から導入している低入調査の対象となった案件は無く、予定価格に対して4割台の応札でも落札が可能となる状況から、調査基準価格が、あまりにも低く設定されている感が歪めない。
 工事と違い、資材・材料費などが発生しないことから落札率について一概に「工事」と「業務委託」を比較できるものではないが、適正な価格に対する評価も必要ではないだろうか。
 最低制限価格制度の近県の導入状況は、徳島県と高知県、県庁所在市では徳島市、松山市、高知市が設定しており、概ね予定価格の6〜8割の範囲で最低価格を設定している。
 一方、愛媛県は予定価格500万円以上の案件について、低入札価格調査制度を導入しており、調査基準価格は計算式はあるものの、概ね7割程度に設定されており、過度の低価格応札を防止する方策を導入している。
 また、高松市においては、「低入調査制度の適用は可能な状況だが、例がなく今後、著しく低い応札が発生した場合、個別判断する」(契約監理課)と低価格応札の防止策は確立されていない。