トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(中部)
2012/05/25

【愛知】東海農政局 新たな土地改良計画の説明会

 農林水産省東海農政局は23日、管内の自治体・土地改良区職員らを対象に、2012年度から開始する新たな土地改良長期計画に関する説明会を開催し、農業水利施設への小水力発電施設導入などについて活発に意見を交換した。12年度に実施する具体的な政策では、「食と農業の再生に貢献する農業農村振興対策」の内容を説明した。
 新たな土地改良長期計画の対象期間は、12年度から5カ年度。東日本大震災による農業施設への被害を踏まえ、計画開始を1年間前倒しして、災害対策を強化した内容となっている。このほかの政策課題としては、農業水利施設への小水力発電施設導入などによる地域資源を生かした地域コミュニティの形成と、農地の大区画化や施設の長寿命化による農業の体質強化を取り上げた。
 小水力発電施設の整備推進に向けて、12年度は小水力など農村地域資源利活用促進事業に当初予算7億円を投じる。国営施設を対象に調査・設計を進める予定で、東海農政局管内では西濃用水と羽布ダムを対象に事業化可能性を検証する。併せて、農村地域を対象に小水力発電施設の導入に向けた調査や、そのほかの効率的な低炭素化に関する取り組みを、小水力など農業水利施設利活用実証支援事業で補助するとした。
 質疑では、小水力発電に伴う設置・維持コストや水利施設の機能保持について質問が出た。同局は、国営施設を対象とした検証を通して発電効率と、発電施設が水利施設の機能に与える影響を検証すると回答。また、土地改良区が発電で得た売電収入の配分については、土地改良施設の操作に使用した電力料金に充てる事例などを紹介した。今後のエネルギー政策については、調達価格など算定委員会が4月27日に配布した資料を参考に、長期にわたる固定的な価格設定であれば事業者の参入障壁は低いとの考えを示した。
 農業水利施設の防災・減災対策では、震災対策農業水利施設整備事業として12年度当初予算で24億円を計上。東日本大震災を教訓に、特にため池を中心に、施設の耐震性調査を推進する。点検対象となるため池は、老朽化度とともに、決壊した場合の想定被害区域の規模・重要度などから決定するとした。
 また、国営総合農地防災事業を拡充し、東海・東南海・南海地震など今後に大規模地震が発生する恐れのある地域を対象に、農業用用排水施設の予防的な耐震化対策を進める。同局管内では、矢作川総合第二期地区で12〜13年度に改修設計を実施し、今後15年間で概算事業費約630億円を投じて頭首工・水路などの耐震性強化に取り組む。
 耐震対策や施設の長寿命化に関する質疑では、基幹的な水利施設の25%が耐用年数を迎えた愛知県の現状を念頭に、補修事業費に対する不安の声が上がった。同省は今後、効率的な補修に向けて長寿命化工法の評価マニュアルを策定し、長期的にコストを低減できるとした。短期的な耐震対策については、めりはりをつけた予算の確保に力を入れる考えを示した。