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建通新聞社(中部)
2012/05/29

【愛知】県 小水力発電設備導入へ組織編制

 愛知県農林水産部は、農業用水などを利用した小水力発電の導入を推進するため、6〜7月に産官学が連携した推進組織を発足する。福島原発の事故を受け、再生可能エネルギーに対する期待が高まっており、積極的な導入に向けて政策を強化していく考えだ。
 県は2011年度に県内で小水力発電設備を設置できる場所を調査。その結果、147カ所が候補地として選定された。概算発電出力は1万2350`h。このうち土地改良区などの施設が124カ所(概算発電出力4279`h9、水資源機構の施設が23カ所(同6981`h)。
 12年度は、東海農林水産省東海農政局が羽布ダム(豊田市)で発電できる規模など、導入可能性調査を実施する。同ダムで発電に利用できる有効落差は35・5bある。調査結果に基づき事業化が決まれば、13年度以降に県が設計を委託する。
 また県は、四谷地区(新城市)の棚田に「地産地消型」の発電設備を設置する。設計を愛知県土地改良事業団体連合会(名古屋市西区)に委託して進めており、12年度中に工事を発注する。電力を売却する「売電型」の発電設備を導入するのに対し、四谷地区は公衆トイレの電灯や街路灯に使用する「地産地消型」の発電設備となる。設計・施工にかかる費用は約300万円を見込む。
 県内では、愛知用水を利用した東郷発電所に小水力発電設備を導入しており、年間7300㍋hを発電している。発電した電力の大半は中部電力に売電しているため、ダムの維持管理費軽減に役立っている。
 農地計画課の担当者は、「小水力発電設備は既存施設を使うため、比較的小規模な工事で設置することができる。地球温暖化対策や節電効果だけではなく、愛知県のモノづくりが盛んな基盤を生かし、中小企業の新規事業対策としても普及していきたい」としている。