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建通新聞社(中部)
2012/06/22

【愛知】中部地方整備局 総合評価の二極化試行で運用方針

 国土交通省中部地方整備局は、施工能力評価と技術提案評価の2タイプへの二極化を軸とする新たな総合評価落札方式の試行について、同局での運用方針を固めた。国交省本省案に沿って、原則として評価項目を施工の品質確保・向上の観点に特化しながらも、地域防災を担う地元建設業育成のため、必要最低限の地域精通度や地域貢献への評価を継続して行う。2012年度の試行対象は7月以降に発注する工事のうち23件。「施工能力評価型」を分任官契約の21件、「技術提案評価型」を「平成24年度23号蒲郡BP清田道路建設工事」(愛知県蒲郡市)など本官契約の土木工事2件で適用する。技術提案評価型の2件では、技術提案提出者を事前に絞り込む「段階選抜」も試行する。
 総合評価落札方式の改善は、競争参加者と発注者の負担軽減や、品質確保という制度の基本理念に立ち返る目的で実施する。これまで簡易型と標準型、高度技術提案型の3タイプに分かれていた同方式を、企業と技術者の実績を見る「施工能力評価型」と、工事の難易度に応じて技術提案を求める「技術提案評価型」の2タイプに二極化する。13年度から本格運用する。
 施工能力評価型は、施工計画の提案を求めるT型(総合評価対象配点40点=施工体制評価型の場合、以下同)と、これを求めないU型(同40点)の二つの方式で運用する。T型であっても、施工計画は入札参加の可・不可の判断材料に使い、総合評価の配点対象にはしない。
 技術提案評価型は、難易度に応じて、標準的なS型(総合評価対象配点60点)と、高度な技術提案を求めるAT〜V型(同70点)の4方式で運用する。
 中部地方整備局では、新制度を本格運用した場合、3億円未満の分任官契約工事のうち約85%が施工能力評価型T型、約10%が施工能力評価型U型、約5%が技術提案評価型S型に該当すると見ている。
 施工能力評価型で、施工計画の提出を求めないU型は、除草などの維持工事を主に想定している。
 3億円以上の本官契約では、ほぼすべてが技術提案評価型S型となり、難易度の高いAT〜V型は年間1〜2件という見方だ。
 同局が行うことにした地域精通度や地域貢献への評価は、施工能力評価型と、WTO(政府調達協定)対象外の技術提案評価型S型で適用する。「企業の能力」の評価に、災害活動実績や災害協定などの項目を設ける。工事によっては建設TCTの能力なども見て、合わせて5〜10点を上限に評価する。このほか「技術者の能力」でも、継続教育(CPD)で1点を配点する。ただし、これら独自の評価を行った場合も、技術者と企業のそれぞれの配点の上限は本省案に合わせている。
 このほか同局独自の運用として、技術提案型でのヒアリングに対する評価の細分化などを行う。
 同局が分任官工事で試行する施工能力評価型は、各出先事務所ごとに1件の割合で、T型を7件、U型を14件を予定している。内訳は河川工事11件、道路工事9件、営繕工事1件。
 本官契約で、技術提案評価型S型と段階選抜を試行するのは、WTO対象の「平成24年度佐久間道路浦川地区第1トンネル工事」(静岡県浜松市)と、「平成24年度23号蒲郡BP清田道路建設工事」(非WTO)の2件。
 段階選抜は、企業と技術者の能力への評価に基づき実施する。本省案は上位5〜10社を絞り込みの対象としていたが、同局では10社で試行する。10位が複数の場合は工事成績で選定する。

[技術者の能力が受注の鍵に]

 今回の総合評価方式の改善の特徴は、技術提案の負担を軽減するほか、「企業の能力」と「技術者の能力」への配点割合を同じにし、特に配置予定技術者の実績などに対する評価のウエートを高めていることだ。
 優秀な技術者の雇用数が競争の基盤となるため、同局では「(特定の企業に受注が偏る)受注の固定化も、これまでより防ぐことができるのではないか」(技術管理課)とみている。

提供:建通新聞社