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建通新聞社
2012/08/03

【大阪】大阪府 最先端がん医療施設整備検討委員会が素案 「重粒子線治療施設を民設民営で」が有力か

 大阪府の最先端がん医療施設整備検討委員会(委員長・小川和彦大阪大学大学院医学系研究科教授)は、報告書の素案をまとめた。施設構想については「陽子線治療」と「重粒子線治療」、事業手法については「公設公営」と「民設民営」の両論を併記したが、「重粒子線治療施設を民設民営で整備する」ことの優位性を示す内容となっている。府は、9月議会に整備構想の素案を示し、合意が得られれば2013年度予算編成に関係事業費を要求。2015・16年度で建設するよう計画を進める考えだ。
 大阪府立成人病センターの大手前地区移転改築に連動する事業。大阪市中央区大手前3丁目で、府本庁舎の道を隔てた向かい側、大阪城公園に隣接する敷地約9,000u(施設に要する敷地は約5,000u)に計画する。成人病センター移転予定地(大阪市東成区から)の東側に位置し、両施設の連携により、がん治療の拠点を目指す。
 素案に示す施設構想では、「陽子線治療」の場合、建築面積約2,800uで延べ約5,500u。工期約3.5年間で、整備費は約90億円(施設約30億円、装置約60億円)。維持費年間約4.7億円(施設約0.7億円、装置約4億円)と試算している。「重粒子線治療」の場合は、建築面積約3,300uで延べ約6,500u。工期約4年間で、整備費は約115億円(施設約35億円、装置約80億円)。維持費年間約5.8億円(施設約0.8億円、装置約5億円)と試算。
 「陽子線治療施設は全国に多くの類似施設があるが、重粒子線治療施設はまだ全国に5施設しかなく、競合可能性が低い」と、重粒子線の優位性を示した。
 事業手法については「公設公営」の場合、大阪府立病院機構が14年度に39.5億円で約5,000uを取得。「民設民営」の場合は約5,000uを年間約1.4億円で府から賃借するとした。「運営期間20年」と「30年」で、収支をシミュレーションした結果、いずれも必要な年間治療患者数は確保できる見通し。
 しかし、「病院機構は複数の病院施設整備計画を抱えており、府の財政状況を十分に考慮する必要がある」との見解を加え、「民設民営」の妥当性を示した。
 建設スケジュールは、15〜16年度の建設で17年度を開設準備に当てる。
 全体敷地が約9,000uあるため、がん医療施設を整備した後も、BNCT(中性子捕捉療法)や、新成人病センターの機能拡張などの余地があることにも言及している。