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建通新聞社(中部)
2012/08/07

【三重】紀勢線新宮〜大泊区間 海側ルートを基本に

 社会資本整備審議会道路分科会中部・近畿地方合同小委員会(委員長・大野栄治名城大学教授)は、3日に開いた会合で、整備に先立って計画段階評価を行っている近畿自動車道紀勢線新宮〜大泊区間について、海側のルートを基本として検討を進める方針を決定した。同区間については、6月に開いた第1回会合で、海側と山間部の2ルート案を提示。地域住民などから意見集約を行った上で、災害時の適応性や建設コストについて委員会で協議を行い、海側がより優れていると判定した。想定される総事業費は概算で約1300億円。
 同区間は、大阪府松原市と三重県多気町をつなぐ近畿自動車道伊勢線のうち、三重県熊野市・御浜町・紀宝町、和歌山県新宮市を通過する。総延長は約30`を見込んでいる。大半が中部地方整備局管内だが、一部新宮市側は近畿地方整備局管内となっている。今後も協議を重ねて、早期の事業化を目指す。
 同区間の整備に際しては、災害への対応を重視する。対象地域では東海・東南海・南海地震の発生時に津波による被災が予想されている。中央防災会議の予測では最大津波高が19bにおよぶ地域もある。また、2011年9月に発生した台風12号では、広範囲で道路の寸断が多発し、集落が孤立化した。このため、災害時にも機能するネットワークの確保を重要な政策目標として設定した。避難路や緊急輸送路として、地域の防災機能を強化する「命の道」を目指すという。
 また、津波発生時には高所への避難場所として同線を利用することも想定。緊急時の出入口や避難階段の設置も検討する。
 このほか、医療施設へのスムーズなアクセスや歴史的・文化的遺産への影響低減、整備費などを評価項目として設定し、海側ルートと山側ルートを比較した。津波浸水区域を回避しつつ、集落へのアクセスを優先した海側ルートの案が採用された形だ。
 このため、行政施設や医療施設をはじめ、重要拠点へのアクセスを重視した路線案となっている。三重県側の大泊インターチェンジ(IC、仮称)から和歌山県側の新宮南ICまで、現在のところ5カ所程度でICの設置を検討するとしている。
 また、津波浸水域は可能な限り平面的に回避するとしているが、やむを得ず通過する場合は十分な高さを確保することで対応する。

提供:建通新聞社