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建通新聞社(静岡)
2012/11/26

【静岡】地震対策は高経年化、津波対策はレベル1対応から段階的に―地震・津波対策の方針で県が素案

 静岡県は、第4次地震被害想定に合わせて新たに策定する「地震対策・津波対策アクションプログラム」の基本的な考え方をまとめた。ハード・ソフト両面の対策を組み合わせて実施し、被害をできるだけ少なくする「減災」を防災の基本方針と位置付け、「地震・津波から命を守る」「被災後の県民の生活を守る」「迅速・着実に復旧、復興を成し遂げる」の三つを基本目標に設定。具体的な対策の方向を示した。今後、この方針に盛り込んだ考え方を基に、新たなアクションプログラムの策定を進める。
 20日に開いた県防災・原子力学術会議地震・火山対策分科会(分科会会長・藤井敏嗣環境防災総合政策研究機構専務理事)の第3回会合で事務局素案を示した。
 「静岡県の今後の地震対策・津波対策の方針(案)〜減災社会の構築を目指して」とする素案では、地震対策について、これまで進めてきた木造住宅や学校施設などの耐震化、ブロック塀の転倒防止などの取り組みを着実に推進する方針を明記。ただ、現在の耐震基準(新耐震基準)で建設された建築物でも、新基準の施行から30年以上が経過していること、また橋梁や護岸などの土木構造物も高経年化で耐震性能が劣化していることが懸念されるため、これらに留意して対策を進めるとともに、交通インフラとライフラインの一層の耐震化を促進する。
 さらに、超高層建築物や長大構造物に対する長周期地震動の影響や、人工改変地での地盤被害や埋め立て地などでの液状化などに配慮して対策を実施する。
 津波対策については、国が発表した南海トラフの巨大地震の被害想定で、県内で最大約10万0300人が津波で死亡するとの推計を踏まえ、津波から県民の命を守ることを県の防災対策の最大の課題と捉えて重点的に取り組む。
 津波を防ぐ施設の効果に過度に期待することなく、県民が迅速・主体的に素早く避難することを基本的な対策としつつ、市町と連携して進めている防潮堤や津波避難マウント(命山)、津波避難タワー整備などの状況を検証し、必要に応じて見直しを行う。
 津波防御施設については、第4次想定による地震動や津波高の推計結果を踏まえ、レベル1津波(比較的発生する頻度が高く、発生すれば大きな被害が起きる津波)に対応する施設の耐震性を見直した上で整備を推進する。また、レベル2津波(発生頻度は極めて低いが、甚大な被害をもたらす最大クラスの津波)に備え、津波が施設を乗り越えた場合でも粘り強く減災効果が発揮できるような耐浪性の高い構造を確保。さらに、砂浜背後に防災林などが広がっている地域で、防災林の嵩上げや補強を検討する。
 これら津波を防ぐ施設の整備に当たっては、@レベル1津波を防ぐ施設高の確保、施設の耐震性の確保と津波が堤防を乗り越えた場合に粘り強く効果を発揮する構造への改良Aレベル1を超える津波を「面」で減衰させて被害を軽減Bレベル2津波に対しても強いまちづくり(地形の嵩上げ・強化、二線堤の整備など)―の三つのステップで進めていく。
(2012/11/26)
建通新聞社 静岡支社