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日本工業経済新聞社(群馬)
2012/12/05

【群馬】わらび峠で地すべり対策−来年度採択目指す

 県吾妻農業事務所農村整備課は、中之条町上沢渡地内の唐繰原地区(わらび峠)にある地すべり防止区域で県営地すべり対策事業を計画、来年度の新規採択を目指している。来年度は新規事業採択を受け、詳細設計を委託する方針だ。総事業費は約3億2000万円を見込み、集水井4基などを整備する方向で、事業完了は2018年度を目指す。昨年9月上旬に通過した台風12号の長期降雨により新たな地すべり層で変動が見られたため、調査を行っていた。

 来年度正式に採択された後、事業採択と詳細設計を作成し、翌2014年度から着工する予定。現段階では、集水井4基(φ3・5m)、集水ボーリングL1240m(φ40o・VP管)、排水ボーリングL200m(φ100o・SGP管)のほか、水路兼用道路L180m、管理用道路L110mなどを整備する計画。集水井は地下10mの層からの排水を目的としている。国有林との境界際まで集水ボーリングを伸ばす。水路兼用道路は、現在未整備箇所にアスファルト舗装されたW3・5mを整備する計画で、アスカーブを設けた道路となる。昨年度に発注された調査解析業務は黒岩測量設計事務所(前橋市)が担当した。
 同地域は、上沢渡地内の丹下温泉から四万地内の四万温泉へ伸びる町道上沢渡四万線で山林内を約2q進んだところにある。大正時代から降雨による湧水や地割れの発生が確認されていた。1998年8月の台風4号と翌99年8月の降雨により地すべり活動が活発化。農地を切断・陥没する事態が生じたほか宅地や道路などに地割れが起きるなど、大きな被害をもたらした。県では2002年度から対策工事に着手し、2億2000万円を投じて地下7mの層を中心に段差のある地形を利用した集水ボーリング工や擁壁工に取り組み、06年までに地表地下水の承水路工による地域外への排除、集水ボーリングによる浸透した地下水の排水を進めた。
 昨年動き出した層はそれよりやや深い。整備対象となる層が動くと寄りかかるようにある国有林内の層を含めた2層もすべり出すおそれも。
 同地域14・1haが地すべり防止区域に指定されている。県と同町沢田地区区長は監視協定を締結し、住民参加による地すべり現象の監視を行っており、異変察知を迅速に行い円滑な対応がなされている。