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建通新聞社(中部)
2013/02/05

【愛知】骨材確保など安定供給に新たな懸念 名古屋地区の生コン

 名古屋生コンクリート協同組合(渡辺文夫理事長)の生コン出荷量が昨年暮れの12月、7カ月ぶりに前年同月と比べプラスに転じた。8・3%増の22万5000立方bとなり、12月までの2012年度の月別で最多を記録した。名古屋駅周辺の複数の大型再開発などが本格化する中、今後も需要は確実に増加していく見通しだ。しかし、安定供給をめぐっては、長年にわたって進んできた生コン業界の生産体制の縮小に加え、新たな不安材料も顕在化している。コストアップの動きがあるほか、原材料の骨材や生コン輸送車の確保などに不安定感が生じているのだ。
 名古屋骨材販売協同組合(杉山隆英理事長)は12月、名古屋生コンクリート協同組合に対して骨材の価格改定を申し入れた。1月の出荷分から、砂利・砂とも1d当たり300円(約15%)の値上げを求めるものだ。値上げの理由として、環境問題による砂利資源の開発制限▽原材料確保のコスト上昇▽プラント設備費の上昇▽深刻なダンプトラック不足―などを挙げた。
 生コンの原材料では、骨材のほか、住友大阪セメントや太平洋セメントなどのセメントメーカーもこれまでに、セメント1d当たり1000円程度(約9%)の4月からの値上げを発表している。
 名古屋生コンクリート協同組合も1月から、生コン1立方b当たり1000円の値上げに踏み切った。標準的な生コンで、9000円を1万円にアップする。
 しかし、安定供給にかかわる問題はコストだけではない。同組合は、原材料の値上げへの対応以上に、資源開発の制限などが影響する骨材そのもの安定的な確保を不安視している。実際に複数の骨材販売業者が「価格が上がっても、供給を安定化できるか難しい」と伝えてきているという。
 台数が減り続けてきた生コン輸送車の確保も課題だ。同組合の渡辺理事長は「12月に出荷が22万5000立方bに回復しただけで、車両不足で納入が滞ったケースが散見された」と話す。骨材の確保の問題も踏まえ、現状では月間23万立方bの出荷が限界という見方だ。
 同組合では、「名駅一丁目計画」や「名駅新ビル」などの名古屋駅周辺での大型再開発や、名古屋環状2号線・名古屋西ジャンクション(JCT)〜飛島JCT間の建設など、今後本格化する大型事業による生コンの需要増に対応するため12年7月、大型プロジェクト対策チームを組合内に設置した。需要に関する情報を事前に収集し、組合による管理を含む安定的な供給体制を構築していく。
 渡辺氏は「今後、多い月には25万立方bの出荷を求められる」と予測する。施工者に対して適正価格への理解を求めるとともに、需要増に対応する出荷の平準化や複数の工場間での調整などに向けて「打設計画について早めに情報提供してほしい」と話している。

提供:建通新聞社