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日本工業経済新聞社(群馬)
2013/02/27

【群馬】集水井などメーン−譲原地すべり対策

 国土交通省利根川水系砂防事務所が実施する譲原地区直轄地すべり対策事業の計画変更が行われた。来年度以降当面は、引き続き下久保地区での集水井21基など抑止工整備がメーンとなる。栢ケ舞地区で進めてきた抑制工による地下水の排水効果により地すべり活動の安定化が見られており、同地区の抑止工で予定していたシャフト工やアンカー工の数量は見直された。1995年度から開始された同事業は2025年度までを事業期間としている。全体事業費368億円のうち、2011年度末時点の事業費ベース進捗率は27・9%に達している。

 同事業は、藤岡市の利根川支線烏川左支神流川で地すべり対策を実施。上流から下久保地区、栢ケ舞上流地区、栢ケ舞下流地区の3地区に分かれ、下流から抑制工や抑止工を進めている。
 見直された事業の計画総量を見ると抑止工における集水井工54基と排水トンネル工L1224mは変更なく、横ボーリング工はL7740mからL8250mへ増加。抑止工はシャフト工が80本(L5・2q)から29本(L2q)、鋼管杭工が583本(L17・9m)から573本(L16・6q)、アンカー工が2826本(L119・4q)から1114本(L41・4q)と変わった。11年度末時点におけるそれぞれの進捗率は、集水井工32基(59・3%)、横ボーリング工L2725m(33%)、排水トンネル工L1224m(100%)、シャフト工0本(0%)、鋼管杭工0本(0%)、アンカー工64本(5・7%)となっている。
 来年度以降、下久保地区集水井工の残量21基をメーンに整備していく。補正予算や当初予算でも事業費が配分されると見られ、継続的に工事が進行するもよう。
 事業の再評価にあたり各都県からの意見聴取も行われ、群馬県は下久保地区への集中投資を要望。譲原地区と隣接する埼玉県も「本県の安全度向上のために必要な事業」と位置付け、着実な進捗を求めている。その他都県もコスト縮減に留意しつつ、事業継続を要望している。
 譲原地すべり地区は、指定地面積100ha、幅2000m、奥行き800mという規模。土砂量は2000万立方mに達する。
 同箇所は神流川に向かって南向きの20〜25度傾斜する斜面になっており、同地区を含む秩父盆地より北側の地域は、関東山地の中でも特に複雑な地質構造となっている。
 地下40〜50m程度に直線的な船底型のすべり面を有し、不動基盤片理面は流れ盤構造になっている。また、地すべり末端部は神流川河床にまで及んでいると考えられるため、活動が続くと周辺家屋や耕地のほかに地域の幹線道路である国道462号への大きな被害が予測される。さらに河道が閉塞し天然ダムの形成・決壊が発生した場合、土砂は利根川本流まで達し下流域の藤岡市だけでなく高崎市まで洪水被害が及ぶことが想定されている。