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建通新聞社(中部)
2013/03/21

【愛知】中部地方整備局港湾空港部 緊急確保航路の検討を開始 伊勢湾で

 国土交通省中部地方整備局港湾空港部は、南海トラフ巨大地震などの大規模災害の発生時に使用する「緊急確保航路」の検討を2013年度から開始する。15日には同航路の指定などを盛り込んだ「港湾法の一部を改正する法律案」が閣議決定した。中部地整は関係行政機関と連携し、大規模災害時における港湾間連携の確立を目指す。
 同法案は、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模災害に備え、特に3大湾(伊勢湾、東京湾、大阪湾)で漂流物による通航路の阻害などを防ぐことなどを目的に作成。発災時に国が所有者の承諾なしに漂流物を除去できる航路の指定▽船舶が緊急的に退避できる泊地の指定▽港湾管理者が民有港湾施設の耐震性などに関して立ち入り検査・勧告・命令を行える権限▽港湾広域防災協議会の設置―などを盛り込んだ。
 緊急確保航路は、港湾機能復旧の初期段階で、迅速に漂流物を排除し、緊急支援物資などの受け取りをスムーズに行える体制を整えるためのもの。
 中部地整は12年に、名古屋港湾空港技術調査事務所で航路啓開の方策検討を開始した。伊勢湾内を対象に、津波襲来時の漂流物(コンテナ・完成自動車など)や海底土砂の挙動をシミュレーションし、啓開が比較的容易な航路の選定を行っている。また、同事務所では漂流物や土砂の移動が少ない水域など、船舶が災害時に避泊できる水域の調査も実施した。
 名古屋港は、高次支援機能を有する基幹的広域防災拠点として位置付けており、海外からの支援物資・人員受け入れの窓口と想定している。現在、拠点の具体的な候補地を4カ所(内港、金城、西部、南部)まで絞り込んでおり、3月末をめどに適地を選定したい考え。その拠点が、航路啓開の起点となると見られる。
 中部地整は、伊勢湾内の地震・津波対策として管内5港(名古屋、四日市、津松阪、衣浦、三河)で港湾BCPの策定に向けた作業部会を12年に設置。2月には港湾BCPのうち緊急物資輸送活動編の案をまとめた。港湾BCPは、機能復旧に際して関係行政機関がどのように連携するかをまとめたもの。今後は、緊急物資以外の物流活動の復旧方策についても検討を深める。また、港湾間、湾間の広域的な連携方策について検討する。
 検討に際しては、陸域の道路啓開活動との調整や、作業機械・船団や基地の確保などの検討が課題となる。


提供:建通新聞社