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日本工業経済新聞社(茨城)
2013/03/28

【茨城】涸沼植生帯等再生整備検討委 新沢鼻〜三條を新規整備

 涸沼の消失した湖岸植生帯を再生し、多様な生物の環境創出を目指す「涸沼植生帯等再生整備検討委員会」(委員長・前田修霞ヶ浦環境科学センター長)が22日、県庁11階会議室で開かれた。県土木部河川課が、モデル地区のモニタリング結果や、来年度からの新規整備地区の素案を委員へ説明した。うち新規整備地区は、涸沼の北北西に位置する「新沢鼻の東側から三條地区の間」。委員らの意見をもとに内容を修正しながら、土砂を投入する整備工を実施し、経過を観察する方針だ。
 この事業は、従来の湖岸植生の再生整備で見られるような大規模な人工構造物を極力用いずに計画。水際の全面に砂を投入し、波の力を利用して安定した浅場を形成し、ヨシの自然な拡大を期待する、本県初の取り組み。
 2004年の初会合以降、モデル事業の実施地点と再生工法、モニタリング計画などを決め、2007年には牛イ藤工務店(茨城町)が砂を投入するなどして実施地点を施工。そして日本工営梶i東京都)によるモニタリングがスタート。昨年は鞄結梃嚼ンコンサルタント(東京都)がこれを担当した。
 県河川課は、モデル地区(涸沼自然公園付近)におけるモニタリング結果、震災による地盤の低下などの影響下でも、植生帯の拡大、水生生物などが維持されていることからモニタリングの内容を縮小する方針であることを委員に説明。
 また前回委員会からの指摘事項を踏まえながら、新規整備地区の適地選定や土砂投入の方法などを説明。土砂は、できるかぎり敷き固めない方法を提案した。
 素案によれば、整備位置は委員からの意見をもとに、新沢鼻東側から三條地区の間で、高齢者介護保険施設近傍から東側の樋門がある区間を想定。モデル地区と同様、土砂を投入し、自然の営力でバーム(砂州)と呼ばれる帯状の砂の形成、静穏域の形成、後背地の湿地との一体的な環境拡大を図る。
 整備断面のイメージは、砂浜5m、砂浜の前面は10分の1程度の勾配(約15m)とし、延長は東側へ100mが目標。
 また、そのままでは土砂投入が流失する可能性が高いため岸に対して鉛直方向に突堤上の構造物の設置が必要とした。天端高は「T.P.+0.5m」を想定。突堤長は捨て石端から20mを想定。突堤は捨石傾斜堤とし、天端幅は2m程度、法面勾配は1/1・5〜1/2程度を想定。必要に応じて自然石か擬岩ブロックなどの被覆材を設置するとした。
 ただ委員からは、リスク軽減の観点から「整備する施設は極力小さくすべき」といった意見などが挙がったことから、河川課では委員からの意見をもとに修正を加えながら新規地区で整備を進めていく方針だ。
 なお土砂採取地は、最初に寛政川、枝折川、涸沼前川のものを使用し、その上で随光寺川のものを、最後に大滝川のものでカバーする方法を当初案としている。だが、委員の意見を踏まえ整備内容を修正することから、土砂採取地も流動的。