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建通新聞社四国
2013/05/24

【高知】住宅耐震化で死者数激減想定

 高知県は、南海トラフ巨大地震が発生した場合の県独自の市町村別被害想定を公表した。想定される最大被害は、県全体で死者4万2000人(うち津波による死者3万6000人)、負傷者3万6000人、全壊・消失棟数15万9000棟、直接経済被害額9兆2000億円などとなっている。合わせて、今後津波避難空間や住宅耐震化率を100%にすれば死者数を1800人まで減らせるとの想定も出しており、6月中にまとめる第2次行動計画に基づき、さらなる防災・減災対策を加速化する。
 被害想定の条件について、死者や負傷者は最も被害者が多いとされる冬の深夜に発生し、避難速度は1分当たり35bとして算出。建物被害は火災が発生するリスクが最も高い冬の夕方に発生したとして算出した。市町村別でみると、最も多い高知市が死者1万2000人、全壊5万2000棟。その他、室戸市が死者3800人、全壊1万棟。安芸市が死者1800人、全壊9700棟。香南市が死者2300人、全壊9100棟。南国市が死者3200人、全壊1万1000棟。須崎市が死者3700人、全壊7400棟。黒潮町が死者2300人、全壊6300棟、土佐清水市が死者2700人、全壊9400棟など、沿岸部を中心に大きな被害を想定している。
 このほかの被害は、避難者数43万8000人、上水道の断水人口57万5000人(断水率82%)、下水道の支障人口24万4000人(支障率93%)、停電件数52万1000軒(停電率99%)、災害廃棄物は津波堆積物も含め東京ドーム21個分相当の3100万dなどを想定している。
 想定死者数4万2000人は、現状の津波早期避難率20%、住宅耐震化率74%、津波避難空間26%から算出している。ここから、県民の津波避難意識の向上で津波早期避難率を100%にし、13年2月時点で計画している津波避難タワー117基と避難路・避難場所1354カ所を全て整備すると、想定死者数は最大で1万1500人まで下がる。さらに、住宅耐震化率を100%にすると、最大想定死者数は1800人まで引き下げることができる。その後も、津波避難空間の確保や建築物の耐震化、室内の安全対策確保、地域での訓練実施などの取り組みを充実させ、限りなくゼロに近付ける方針だ。
 6月中にまとめる第2次行動計画では、津波や火災への対策を抜本強化、発災直後から応急期にかけての対策については3年間でおおむね完了、対策による減災効果を明確化、被害シナリオに対応できるよう現計画の111項目から181項目に対策をパワーアップ、の4点がポイント。既存住宅の耐震化促進、部分耐震などの簡易な安全対策の検討、学校・医療施設などの耐震化促進など建築物耐震化の取り組みを強化。津波避難空間の概成では、13年度末までに、津波避難タワーは計画117基に対して90基、避難路・避難場所は計画1354カ所に対して1033カ所の整備を完了させるほか、室戸市で津波避難シェルターを整備する。避難時間を確保するための海岸堤防整備、橋梁の耐震化など減災のためのハード整備も継続的に推進する。
 県では、第2次行動計画に基づきこれらの対策を一斉にスタート、助かった命をつなぐ応急対策も本格化させる。