トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2013/05/23

【群馬】富岡賢治・高崎市長インタビュー

 富岡賢治・高崎市長は、任期の半分を経過したことを受けて、このほど群馬建設新聞の単独インタビューに応じた。「市民の落ち着いた生活を実現していくため、できることは何でも早くやる方針で一貫してきた。企業流出も9割5分止まった」と振り返り、今後はビジネス団地の造成など企業誘致に力を注いでいく方針だ。「高崎でできることは高崎の企業に」という方針の下、新斎場の建築工事については市内業者に発注することも示した。また、市長就任以来中止になってしまっている「優良工事施工業者表彰」や「優秀技術者表彰」については、あり方を見直したうえで復活させる考えであることも明らかにした。

 −就任して2年が経過した。これまでを振り返ると
 富岡 選挙のときから高崎で雇用を確保しビジネスを盛んにして、その力を基礎として市民の落ち着いた生活を実現していこうと。そのためにできることは何でも早くやろうという方針で来た。これは一貫していると思う。市長になって「えっ」と思ったことがひとつある。群馬県や高崎市には、ビジネスの拠点を県外、市外へ移そうという計画を持っている企業が多い。これは由々しきことだと思った。高崎市や群馬県を拠点にできるよう「ビジネス立地奨励金制度」などの条件整備を行ったことで、9割5分は流出計画が止まったのではないか。これからは企業をお招きすることに集中しようと思う。
 −高崎操車場跡地もあっという間に埋まった。スマートIC周辺で新たなビジネス団地造成が計画されている
 富岡 10数年間全く売れなかったものが、1年で売り切れになった。スマートIC周辺では約18万坪のビジネス団地造成を計画している。市の財産を活用するので、持ち出しもそれなりにあるが、企業が流出したら元も子もない。企業に来ていただき、高崎や群馬で発展すれば2〜3年で取り返せる。正しい判断だと思うし、多少お金をかけてでも条件整備をするのは間違いではない。15年度には分譲を開始する。まだ正式な受け付けはしていないが、すでに随分多くの問い合わせをいただいている。IC出入口部分には国内最大の農産物販売センターを建設する。高崎の野菜や果物はおいしいのにそれに見合うブランド力がない。(センターを建設することで)こうした状況も解消される。新潟や福島、宮城、岩手、茨城の方から「海産物も一緒に売ってほしい」という働きかけがある。渡りに船だと思うし、内容は今後詰めていく。売り方や品揃え、店の作り方など、いろいろと研究が必要だ。たくさん農産物を売ることで農業を職業として成立できるようにすれば、後継者もできるし、農業が抱える諸問題の解決につなぐことができる。
 −「住環境改善助成事業」や「まちなか商店リニューアル事業」などの新しい施策を次々と打ち出している
 富岡 高崎の最も大きな課題はまちなかの活性化だ。この課題をクリアしなければならないと思っていた。今仕事が一番減っているのは家内工業的な小さな企業や商店。そこに仕事を持っていく方法として、直接的に支援する方法がないかといろいろ聞いた。住宅リフォームを進めることがいいということで、手厚くしようと。政策的にはすごくヒットした。この手法を発展させたのが、まちなか商店リニューアル事業。最大100万円まで助成する規模の事業は日本全国探してもどこにもない。他の自治体は3〜5万円というところが多く、二桁違う。高崎には商店が6200あり、内装リニューアルをしたいかと尋ねた。そのうち2割から「したい」と返事があった。どういう条件であればリニューアルをするかということを突き詰めたのがこの制度で、それを実行した。5月1日から募集を開始したが、2週間で1億円の予算に達した。今後、議会と相談して補正していきたい。人が来るような店づくりというソフトは経営者が考えることだが、そのための必要な手助けが今回のリニューアル制度。高崎では新体育館や第二の音楽センターなど大きなプロジェクトが進んでおり人が確実に来る。今のうちから商店街を魅力的にしておかなければならない。
 −新体育館は国際大会の開催に対応する規模になる。東口では新音楽センターなど都市集客施設の建設計画がある
 富岡 高崎はにぎやかで交通の便が良いから音楽会を開催しているように思われがちだが、クラシックの音楽会開催は前橋や伊勢崎、桐生の半分。小さな体育館しかないからインターハイの県予選も開催できない。公共事業やハコモノに対して、一時期不当な評価がなされた。そういう抵抗があるかもしれないと思ったが今は随分減った。行政側も地方公共団体の失敗を学んでいる。財源計算や財政バランスに注意を払っているから過ちは犯さない。基本設計と実施設計で1年ずつかける例が多いが、2年かけるのは行政側の都合でしかない。新体育館は1年で基本設計も実施設計も終わらせ、17年度中にはオープンさせる。新体育館が完成すれば東口の既存体育館を解体し音楽ホールの建設が始まる。複合建築物となりコマーシャル部分については企業に入ってもらうことになるが、相手のある話だから少し時間がかかる。手間暇かけて作業を行っていく。
 −建設業界に対するメッセージは
 富岡 高崎の税金を使う公共事業や物品購入は、高崎の企業からだけにするのが基本姿勢。高崎にできることは高崎の企業にやってもらう。ところが長い間、競争入札がフェアであるという考えの下、ほんのわずかの差で仕事を東京の会社に取られてきていた。高崎の企業でできる工事なら、仮に10万円高くなったとしても高崎に税金を納め、高崎の子どもを採用する会社にやっていただくという考えを貫いている。高崎でできないものは全国の企業にやってもらうことになるけれどもね。新斎場にしてもボイラーは高崎の企業では無理だが、建築工事はできるし、そうなる(高崎市内の業者に発注する)だろう。地元の建設業を最も大事にしているひとりだと思う。「地元の企業を大事にする」とは誰でも言うが、やっていることが全国を対象にヨーイドンだったらそれは違うことになる。
 −「優良工事施工業者表彰」や「優秀技術者表彰」がこの2年間中止になってしまっているが
 富岡 表彰をすることはすごく良いことだし、技術者にとっても励みになるということは百も承知している。ただ、入札の優位性に直接すごく大きくつながるのはどうかと思っている。民間工事にもいい工事が多くあるし、市が発注した工事だけで選ぶのも奇妙にも思う。例えば(日本建築学会賞のような)著名な表彰では、国の事業の中からだけで選ぶということはない。ただ、これは見直して、いずれシステムを変えて復活させたいと思っている。入札に影響しないようにしたいが、影響しなければ果たして表彰される側も嬉しいのか、その匙加減が難しい。
 −市長が目指すまちづくりとは
 富岡 仕事があって雇用が確保されていることが絶対。若い人が就職できないのは悲劇。市民の生活が安定し落ち着いた生活を送れるようにすることが重要だ。経済はスピードアップ、だけどスローな生活が確保できるまちにする。まちづくりはエキサイティングに、人、モノ、情報、お金が交流し集積するまちにすれば、落ち着いた生活が送れるようになるのではないか。そのためにまちをエキサイティングにしなければならない。