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建通新聞社(静岡)
2013/05/31

【静岡】富士宮市で茅葺きフォーラム開催 朝霧高原茅場の取り組みを報告

 ススキなどの茅(かや)の生活文化と草原景観を継承していこうと、「富士山麓茅葺き景観の復活 世界遺産に向けて」と題したフォーラムが25日、富士宮市内で開かれた。日本茅葺き文化協会、富士宮市、同市教育委員会の主催。須藤秀忠富士宮市長は「富士山のふもとには良好な茅の草原が広がっている。市として保全利用し景観を守り、世界中の人々に富士山の美しさ、尊厳さを伝えていきたい」とあいさつした。
 朝霧高原(富士宮市根原)の茅場150fが、昨年文化庁の「ふるさとの文化財の森」(文化財の修復に必要な植物性の資材を供給する山野)に設定されたことなどから、富士宮市にフォーラムが招致された。岩手県から鹿児島県まで全国から約140人が参加した。
 開会あいさつに立った筑波大学名誉教授で日本茅葺き文化協会の安藤邦広会長は、「草原の価値、エネルギー、資源の多様性を理解してほしい。茅はいろいろな産業、生活素材として日本人を支えるもの。その重要な地位は必ず復活すると確信している」と語った。
 活動報告では、富士宮市教育委員会の渡井一信富士山文化課長が、富士山世界文化遺産登録に向けた取り組みを紹介。「富士山の中心地としての自覚を持って文化的価値を『守る』など四つの行動計画の下で事業を推進する」とするとともに、「茅場を通じて富士山を守っていきたい」と話した。
 富士教育訓練センターが開校10年を機に、地域に呼び掛けて設立した朝霧高原活性化委員会の茅場をテーマとした活動については、富士山麓観光まちづくり研究所の岸野正美理事長が報告。「ふるさと文化財の森」の設定とフォーラムの招致という二つの目標を達成したことから、今後は茅を安定生産する体制づくり、普及啓発活動、地域の茅葺き建築の保存と継承支援―の三つの取り組みを進めたいと述べた。
 フォーラムでは、この他、東京農業大学の麻生恵教授が「草原の文化的景観」、神宮司庁営林部の中川典之技師補が「伊勢神宮式年遷宮と萱(かや)地管理」と題して講演。翌26日は朝霧高原茅場や「旧鱒の家」などの見学会を行った。
(2013/5/31)

建通新聞社 静岡支社