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日本工業経済新聞社(茨城)
2013/07/25

【茨城】群馬・栃木と三県建設業協会合同会議を開催

 茨城県建設業協会(岡部英男会長)、群馬県建設業協会(青柳剛会長)、栃木県建設業協会(渡邉勇雄会長)が一堂に会し、業界を取り巻く諸問題について話し合う第32回合同会議が23日、大洗シーサイドホテル(大洗町磯浜町)で開催された。会議では、各協会から提案された@公共工事設計労務単価の引き上げ等についてA社会保険未加入対策についてB多様な入札契約方式の導入と活用について―の3議題について、各県の現状や対応、今後の見通しなどについて活発な意見交換を行った。
 会の冒頭、当番県である茨城県協会の岡部会長は「今後の大規模災害に備えるため、昨年、栃木・群馬・茨城の3県において災害協定を締結した。今後は3県が相互に連携を取りながら対応していかなければならない」とした上で「私どもは、社会資本の整備を通じて、地域社会の発展に貢献するだけではなく、雇用の創出に寄与すべき。今後も北関東3県で多方面において交流していければ」とあいさつ。
 群馬県協会の青柳会長は、同協会を取り巻く環境に触れながら「さまざまな団体活動を3県で連携して行っていく事が大事。本日発表される栃木、茨城の意見を参考にしていきたい」と抱負。栃木県協会の渡邉会長は「建設業が将来にわたり活動していくためには、若年労働者の確保・育成に取り組むことが必要。この会議を通して北関東3県のさらなる連携を」とあいさつ。
 また来賓として、国土交通省関東地方整備局常陸河川国道事務所の久保田一所長が「東日本大震災からの復旧など、地域の建設業が地域の安全に大きな役割を果たしていることが世の中に広く知られていない。官民連携し、建設業の魅力を伝えて行ければ」などと祝辞を述べたほか、立藏義明茨城県土木部長が「県としては、業界が抱える共通の課題を真摯に受け止め、皆さまと一緒になって、より良い方向となるよう入札契約制度の改善など努力していきたい」と話した。
 議事では、3つのテーマを柱に、提案した各県協会の担当者が趣旨説明を行い、各県の動向や取り組み、今後の見通しなどについて意見を交換。
 群馬県協会は、本年5月に実施した「公共工事設計労務単価の引き上げ等に関するアンケート」の結果を公表。今後10年間でリタイヤするベテラン技術者の経験と技術力を、若年者にどう引き継ぐべきかを考え「@改訂単価が完全波及するまでの改訂単価維持A公共工事設計労務単価のさらなる引き上げB若年者(24歳以下)採用・育成のための、建設企業の経営安定と建設需要の確かな見通しC公共事業労務費調査のより一層の改善D人材不足の時代を見越した諸制度の構築」という要望・提言を取りまとめたと発表。
 これに対し、栃木県協会は人材育成確保に向けて「関係機関と連携し、高校生を対象とした現場見学会などを実施し、将来を見据えた人材確保育成事業を実施している」とした上で、労務単価の引き上げについて「経営の安定化を図るため、さらなる引き上げを希望する」と話した。茨城県協会は「協会として、会員各社に労務費調査の主旨を理解してもらうよう、また適正な賃金を払うよう指導していかなければならないと考えている」と回答。
 続いて栃木県協会は、社会保険未加入対策について、本年4月に法定福利費相当額を労務単価に反映させる環境整備が図られたことが雇用環境改善につながると評価した上で、会員企業への調査では問題はないものの、一次下請け、二次下請けの保険加入について不透明な部分があると危惧。今後の入札条件などの推移によっては早急な対策が必要とし、各県の取組事例を質した。
 これに対し、群馬県協会は「本年4月までの経営事項審査を調査したところ、12・7%(150社)が未加入であった。このことから下請けには未加入があると想定される。今後も協力企業に加入を働きかけるとともに、今後も一歩一歩進んでいく」と、茨城県協会は「意見交換会や勉強会を開催し、加入促進に取り組んでいる。民間工事についても法定福利費の額が適切に反映されるよう、官民一体となった指導の徹底をお願いしている」と、それぞれ話した。
 茨城県協会は、国が「地域の建設産業および入札契約制度のあり方検討会議」を本年5月に設置し、これまでの入札方式から、事業の特性などに応じて選択できる入札契約方式の改革を検討することになったと説明。県協会として「地域の特性を活かした入札契約方式を今後検討していただければ」との考えを示した上で、時代のニーズや事業の特性に応じた多様な入札契約方式の導入と活用について、各県の意見を求めた。
 群馬県協会は「入札契約制度は競争をあおる方向に進んできたが、地域建設業の多様な機能を評価して地域政策の観点から公共調達制度を構築していただければ」と希望を述べ、栃木県協会は「県は住民サービス低下を防ぐため、建設事業協同組合を活用した業務委託を試行的に導入。日光・那須の両組合が中山間地域の除雪作業を主な業務として共同受注している」と現状を説明。協会として「今後、都市部の維持管理業務についても提言していく」と説明した。
 その後、決議案の審議へと移り、11項目が満場一致で採択された。
 なお、次期当番県協会は群馬県に決定した。