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日本工業経済新聞社(群馬)
2013/07/26

【群馬】治山施設台帳を電子化 適正な維持管理に向け

 治山施設の維持管理修繕計画の策定を視野に入れ、県森林保全課が現在、施設台帳を電子化していることが分かった。現在は、治山施設の位置を詳細に把握するための作業を進めており、効率的な維持管理を実現することで予算の平準化はもとより、予防保全および事前防災に向けた長期的な改修・補修が可能となる。同課は、再来年度以降の計画策定を視野に入れており「今後の補修や修繕はもちろん、施設の現状を踏まえた機能強化などの対策につなげていければ」と話している。

 同課では毎年、山地災害危険地区の渓流や山腹の状況を点検するとともに、谷止工や流路工、土留工、落石防止工などの治山施設の点検も併せて実施。点検自体は群馬県森林土木建設協会へ委託し、同協会が県内を2ブロックに分け、それぞれのブロックを1年ごとに点検している。本年度は吾妻環境森林事務所管内、藤岡森林事務所管内、富岡森林事務所管内の3地区を対象に行う予定で、これから同協会へ点検業務を委託する予定。
 治山施設には建設年次や規模などが記された紙ベースの施設台帳が存在するが、同課では2006年度から電子化を進め、08年度にデータベースへの移行が完了。それとともに、同協会が毎年実施している点検の最新結果も随時更新している。
 現在は、電子化に移行した治山施設の位置情報に不正確な箇所があるため、GPSで詳細な見直しを行っているところ。電子化された台帳には治山施設の位置情報や諸元、写真、同協会による最新の点検結果などが明記されており、集中豪雨などによる災害への迅速な対応につなげていく。
 これらの作業を終えたのち、維持管理修繕計画の策定へと移りたい考えが、そこには下流の保全対策と施設の老朽化、現状を踏まえた整備の優先度を付ける見通し。現在も点検結果に基づいて適宜、補修などの対応を行っているものの、計画に基づいた維持管理を行うことで予防保全、事前防災に向けた長期的な改修・補修が可能となる。計画に沿った改修・補修では昭和に建設された治山施設が対象となりそうで、クラックの補修などのほか、既設を有効活用した堤高の嵩上げ、増厚といった機能強化も位置付けていく。同課によると、施設台帳に登録されている治山施設のうち、もっとも古いのは昭和20年度に建設されたものだという。
 計画の策定自体は厳しい財政状況などもあり流動的だが、再来年度以降となる見込み。具体的な内容は今後詰めていく。
 なお、同課が現在把握する治山事業実施箇所は約1万7000カ所に上るそうで、管内別では◇渋川森林事務所管内が2400カ所◇西部環境森林事務所管内が2900カ所◇藤岡森林事務所管内が2200カ所◇富岡森林事務所管内が2500カ所◇吾妻環境森林事務所管内が2600カ所◇利根沼田環境森林事務所管内が2600カ所◇桐生森林事務所管内が1800カ所−となっている。