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日本工業経済新聞社(群馬)
2013/07/29

【群馬】半水石膏を12月から本格運用へ 県建設企画課

 県と群馬大学とが共同で研究を進めていた地盤改良などへの半水石膏の活用について、県建設企画課が12月以降に標準工法として本格運用を開始することが分かった。適用工事は県県土整備部が所管する路床の地盤改良や河川の築堤盛土材の改良などで、同課が使用基準を現在作成中。近く各事務所へ通知する見通しだ。また、発注者、設計者、施工者による三者技術協議会で検討された試行案も明らかとなり、橋梁など難易度が高い工事に限定的に実施している三者技術検討会を拡大するとともに、合同勉強会を開催することとした。

 半水石膏は廃石膏ボードの石膏を細粒化し、それを130℃以上で加熱処理したもの。半水石膏を土と混合させると土を硬化させる性質があるため、半水石膏とセメントを同等の割合で配合したものを路床などの地盤改良材に利用することで、建設発生土の抑制やコスト縮減、再資源化を図る。同課は本年12月以降から標準工法として運用開始を計画しており、25日に県県土整備部の内部会議である第2回技術向上委員会で各土木事務所の副所長や次長などを前にし周知徹底を図ったところ。
 本格運用にあたっては、置換工やセメント安定処理と経済性などを比較した上で、半水石膏による施工が優位であれば採用することとしており、現在は同課が使用基準を作成中。また、品質基準についても大学と共同で作成している最中だという。
 今後のスケジュールだが、県が群馬大学へ委託している配合CBR試験、土壌環境試験などを適用が想定される工事箇所ごとに実施。その結果を踏まえ、現行の工法と経済性などを比較した結果、優位であれば半水石膏での施工を開始する。
 具体的な適用工事については各土木事務所からすでに発注、または今後発注予定で、12月以降に置換工などに着手する案件を対象とし、施工業者は受注後に県内の半水石膏製造工場へ材料を注文し、納入された半水石膏で着工する流れとなる。なお、工事箇所については各土木事務所が選定中だ。
 一方、発注者、設計者、施工者とが合同で現場の課題や問題点を抽出・改善を模索するとともに、若手技術者の技術力向上を図るために設置された第1回三者技術協議会でのさまざまな意見を参考にした試行案も明らかとなり、2つの試行案を上期中に実施することとした。
 具体的には現在、橋梁などの難易度が高い工事に限定して実施している三者技術検討会の拡大と三者合同勉強会の開催の2点。三者技術検討会の拡大では、1事務所に3カ所程度を見込んでおり、工事の各段階で請負者、設計者、監督員が日ごろ課題として抱える設計と現場の不一致、施工上の不都合などの課題抽出と原因について協議する。実施にあたり、同課は「ごくごく普通の工事を対象にしたい」と話しており、発注・契約後から起工測量までに1回、工事着手までに1回、完成までに1回の計3回の実施を原則としているものの、すでに発注済みの現場でも可としている。第1回目では工事の目的や設計条件、施工条件などを確認し、第2回目では起工測量を終了した時点での課題の抽出とその原因について協議、工事着工後の第3回目では図面と現場の不一致についての課題などを話し合う。同課は、本紙の取材に対し「三者技術検討会を拡大させることが目的ではなく、実際に現場で発生している問題を抽出・把握・協議することで、図面と現場の不一致の防止・減少を図るのが目的。これを踏まえ、発注の際には注意すべき点を一覧で分かるような留意点のマニュアル的なものを策定したい」と話しており、それぞれの役割分担とその範囲を明確にするための基準づくりにつなげたい考え。
 他方、三者合同勉強会については8〜9月中に1事務所で1回開催することとし、ベテランと若手技術者が現場での課題を協議することで、技術力の向上や業務の改善を図る。当日はベテラン職員の経験など具体例を題材とした勉強会、若手技術者の確保と育成、業務の改善に向けた意見交換を実施し◇発注者側は土木事務所の次長(副所長)または企画調査(計画調整)係長、係長・主幹クラス職員、若手技術者◇設計者側は群馬県測量設計業協会の主任技術者◇施工者側は管内の群馬県建設業協会会員企業に属する主任技術者−がそれぞれ参加する予定だ。