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建通新聞社(神奈川)
2013/08/22

【神奈川】中間前払金制度の普及遅れ 発注者の無理解・消極性も一因 東日本建設業保証神奈川支店が利用者アンケート

比較的簡単な手続きで工事代金が受け取れ、請負業者の資金繰りが改善される制度として創設された「中間前払金制度」だが、期待の大きさに比べ、普及の速度が遅い。その一因として、発注者の無理解や、適用への消極性がある−。東日本建設業保証神奈川支店が「中間前払金制度」のアンケート調査を行い、分かった。
 アンケートは、本年6〜7月に実施。支店に中間前払保証を申し込んだ実績のある企業から任意に抽出した341社に郵送または持参で調査。222社から回答を得た(回答率65・1%)。
 支店は、アンケート結果について、「必要性が高いと感じている企業が多い。ただし、発注者によって制度に対する理解度に差がある。発注者の契約担当者と認定担当者にも温度差があるとの意見があった」としている。
 同支店は、この結果を神奈川県と中間前払金制度を導入している県下15者(導入予定の逗子市を含む)に配布して、普及拡大への理解を求めた。東日本建設業保証は、2013〜14年度で利用件数を12年度実績に比べ倍増させる計画を持っている。
 アンケート結果の概要は次の通り。
■制度を知ったきっかけ(複数回答可能)
 「以前から知っていた」が47%。「保証会社から話があった」が35%。「発注者から制度について話があった」は16%で、8割以上の発注者が制度を説明していない。
■中間前払金を利用した理由(複数回答可能)
 「資金繰りに役立つ」が83%。「払出手続きが簡便」が50%。
■認定手続きで、確認請求書と工事履行報告書以外で発注者に提出した書類(複数回答可能)
 「特になし」が45%。「工程表+現場写真」が27%。
■認定手続きの際、現場で出来高検査を実施したか
 「実施しなかった」が68%。
■認定請求から認定が下りるまでに要した日数
 「4〜7日」が46%。「8〜14日」が33%。「15日超」も7%あった。
■発注者の認定手続きについての全般の印象
 「簡単」が72%、「非常に簡単」が8%で、合わせて全体の8割。
■保証会社への申し込みから払い出しの手続きの印象
 「簡単」が67%、「非常に簡単」が25%で、合わせて全体の9割。
■中間前払金を利用しなかった理由(複数回答可能)
 「工期が短い」が58%。「資金繰りに余裕があった」が38%。
■意見・要望の抜粋
 【発注者に】▽工期が長い場合は資金繰りに役立つ▽とても早い対応▽発注者により温度差がある▽回数を2回にしてほしい▽担当課の職員に取り扱ったことがないからと言われた▽発注者に困惑が見られた▽発注者に面倒と言われた▽制度の趣旨が理解されていない(出来高検査)▽書類の簡素化・認定の簡略化を▽現場と事務の連携が取れていないため、利用したくない▽契約書に「中間前払いする」となっているのに、制度を知らない担当者もいる▽認定が担当者の私見に左右されることが多い▽発注者が自分の仕事が増えることを嫌がる▽発注者から働き掛けてほしい▽初めて利用した時に、当社の経営状況が悪いようなことを言われ、利用しない方が良いのかと感じた
 【保証会社に】▽思ったより簡単▽少額工事でも勧誘申込書を送ってほしい
※中間前払制度
 当初の前払金(請負代金の4割)に加え、工期半ばで請負代金の2割を追加して行う前金払い。