トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2013/10/24

【群馬】県建設技術協と法面保護協会群馬県部会が講演会

 群馬県建設技術協会と全国特定法面保護協会関東地方支部群馬県部会の主催で23日、前橋市内の群馬県公社総合ビルで技術講演会が盛大に開催された。
 本年度は『あすの防災を考える』がテーマ。当日は、200人の定員を大きく上回る260人が聴講に訪れた。また、会場内には法面工の最新技術を展示したブースが設けられるなど、多くの聴講者が足を止めていた。
 全国特定法面保護協会は特定法面保護の工法を探求するとともに、その普及と促進をもって国土の保全に寄与しており、特定法面保護工に関する調査・研究および開発、技術者の養成などを行っている。群馬県部会の事務局は、渋川市の特内に設置されている。
 冒頭、群馬県建設技術協会の荒巻清一副会長(県前橋土木事務所長)が「台風26号による伊豆大島の大きな災害で、ハードとソフト両面から対策の必要性が再認識された。自然災害から身を守るため、日ごろから産学官が連携し、備えておくことが大事。本日は幅広い内容の講演が予定されているが、この講演が皆さま方の今後の業務につながれば幸い」と述べ、同関東地方支部の長谷川泉支部長も「地域の危険度を把握するためには、詳細な調査が必要不可欠。本日の講演から多くの知識を得ていただきたい」と期待した。
 同群馬県部会の設樂雅之幹事長は「伊豆大島での甚大な被害は、自然の脅威をまざまざと感じさせられた。1つひとつの危険の芽を摘んでいくことが大事であり、そのための専門性を高め、現場に生かすことがわれわれの使命。本日は長時間にわたる講演であるが、しっかりと耳を傾けてほしい」と呼びかけた。
 その後、講演へと移行。まず、東京農工大学名誉教授の中村浩之氏が『地すべり・崩壊の現状と問題点』を演題に講義。中村氏は表層崩壊と深層崩壊に関し「斜面表層土が崩落する表層崩壊は豪雨中に発生することがほとんど。他方、深層崩壊は海洋プレートが海溝で大陸プレートの下に沈み込む際、海洋プレート上の堆積物が剥ぎ取られ、陸側に付加した付加体の分布する地域で発生することが多いと言われており、通常の集中豪雨では発生しない。深層崩壊への対応としては危険斜面の抽出、崩土の堆積・拡散予測が重要であり、待ち受け構造物、地下水排除工などのハード対策が有効」との見解を示した。
 続けて、東日本大震災の被災県である宮城県土木部防災砂防課から角田篤彦氏を講師に招き、宮城県内の被害状況のほか、震災時での初期対応と応急工事などが説明された。
 休憩を挟み、県砂防課砂防情報係長の諸田貞一氏が本県における土砂災害対策を説明。近年の土砂災害発生件数とともに、砂防事業の取り組みなどを講義した。
 最後に同関東地方支部技術委員長の黒柳啓氏が最新の法面技術を紹介。施工状況の写真を用いながら、最新技術の施工手順や仕様ごとの1uあたりの概算事業費、さらには施工後の効果などを詳細に説明した。