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日本工業経済新聞社(茨城)
2013/10/31

【茨城】改正耐震改修促進法で懸念 自治体は補助制度を 聞屋の目線

 11月25日に施行される改正耐震改修促進法で、新たに旅館などの耐震化が事業者へ義務づけられるが、耐震診断や耐震改修に対する県や市町村の補助制度について整備が全国的に遅れている。
 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)は、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災を受けて施行された。その後、新潟県中越地震や東日本大震災を経て改正される。これまで耐震化は努力義務だったが、耐震化が進まないことから、耐震診断の義務化と結果の公表を行うよう規制を強化。
 具体的には、81年以前の旧耐震基準で建てられた2階建て3000u以上の小中学校や、3階建て5000u以上の病院、店舗、ホテル、旅館に耐震化が義務づけられる。
 小中学校や病院はすでに耐震化が進んでいるが、今回、問題となるのは店舗やホテル、旅館。耐震化は、これまで任意だったことから、ほとんどの施設が未耐震と想定される。
 県では、県内9つの特定行政庁などに指示して該当件数の抽出を急いでいる。それぞれ施設規模が大きいことから、大都心と比べれば該当件数はそれほど多くないと予想される。だが、増築して該当となった施設は対象外であることから、それらの施設を除く作業などに時間を要している。
 さらに、5000u以上の危険物の貯蔵庫や処理場も、旧耐震基準の施設は該当となる可能性があるが、取扱量など具体的な数値が国から示されていないため、実態数値が把握できていない状況だ。
 10月から、3年の期限付き国が直接補助する「耐震対策緊急促進事業」が始まったものの、事業者は耐震診断に3分の2、改修には88・5%を負担しなければならず、手厚い助成とは言い難い。
 県や市町村も補助し事業者の負担が軽減される制度設計が早急に求められる。