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建通新聞社(神奈川)
2013/12/04

【神奈川】ルネッサンスin洋光台 「中央団地内広場の基本設計に着手」 〜隈研吾氏がデザインアドバイザーに就任〜 『街の縁側』創出へ 事業費3億円見込む

 UR賃貸住宅を活用したエリアの再生と活性化を目指すモデルプロジェクト「ルネッサンスin洋光台」―。有識者によるアドバイザー会議や、地域住民が主体的に参加するエリア会議・ワークショップなどでの約2年間の議論を経て、いよいよ具体化に向けて動き出した。建築家の隈研吾氏が、JR洋光台駅前の洋光台中央団地(UR賃貸住宅)の広場改修や外壁修繕工事などのデザインアドバイザーに就任。2014年度いっぱいをかけて基本・実施設計を進め、15年度に工事、同年度中の完成を目指す。中央団地内広場の整備に関係する事業費の総額は約3億円を見込んでいる。
 4日にプロジェクトを所管するUR都市機構神奈川地域支社と、隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)が共同で記者会見した。
 ルネッサンスin洋光台は、築後40年余りが経過した洋光台地区内のUR賃貸住宅(洋光台北団地、洋光台中央団地、洋光台西団地)を核として、洋光台地区全体の活性化を目指すプロジェクト。
 プロジェクトの実施に当たって、各界の著名な有識者から成るアドバイザー会議を11年12月に設置し、アドバイスを受けている。今回、広場改修のデザインアドバイザーを務める隈氏は同会議の座長でもある。
 また、12年5月には学識経験者と洋光台街づくり協議会、神奈川県、横浜市、磯子区といった地元関係者とUR都市機構で構成する「洋光台エリア会議」を設置し、エリアマネジメントの体制構築に向けた議論も併せて進めている。
 モデルプロジェクトの初弾として、このほど洋光台地区の顔となるJR洋光台駅前の洋光台中央団地内広場(通称・サンモール洋台駅前広場)の改修基本設計に着手した。
 基本設計は隈氏のデザイン監修の下、みのべ建築設計事務所(東京都新宿区)が担当。14年度までに設計を完了する。工事着手は15年度。完成は今のところ15年度内を想定しているが、数期わたって行う可能性もあり、「フレキシブルに変わる」(UR)としている。広場の面積は約2000平方b。改修にかける予算は概算で3億円を見込んでいる。
 会見で隈氏は、閉ざされたイメージの「PLAZA」ではなく、外部と街とをつなぐ懐かしさを感じる「街の縁側」のような空間を目指したいと語った。また、施設設計前のイメージについて「縁側はいわゆる庭と建物をつなぐスペースだ。洋光台全体に縁側を付けることができれば、コンクリートの大きなボリュームが緑豊かな地面とつながる」と述べた。
 さらに、「中央広場は(建築家である)自分の目から見ると非常にポテンシャルが高い」と評価。具体的に、「通路でありながらたまりの場となっている」「コーナー(角)が何カ所もある」「ヨーロッパの著名な広場のように緩い勾配があり、それによる目線のずれが快適さを醸し出している」などの特徴を挙げた。その上で、「現在のイメージを壊すことなく、うまくルネッサンスできるはずだ」と語った。
 URでは同プロジェクトで得られた知見とノウハウを他団地でも積極的に活用し、新しいまちづくりの取り組みを全国的に展開していきたい考え。