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建通新聞社四国
2013/12/27

【徳島】陸閘自動開閉実験、日立造船に決定

 公募により陸閘(こう)閉鎖方法の新技術の活用を目指している徳島県は20日、18日に徳島市内で開催した第2回評価委員会(委員長・中野晋徳島大学大学院教授)での評価結果を受けて、最終的に実証実験に参加する新技術を日立造船機械・インフラ本部(大阪市住之江区)が提案した浮体式起伏ゲートをベースにした防潮壁「neo RiSe」(ネオライズ)に正式決定した。県は実証実験場所として、日和佐港(美波町)の陸閘を提供。2014年3月から1年間かけて自動閉鎖の確認や実操作など実証実験を進めることにしている。
 東日本大震災を教訓に、津波到達時間が短い箇所に設置されている陸閘の自動閉鎖の新技術を企業や研究機関から募集し、実証実験による効果が確認できれば活用しようという取り組み。県は、台風や高潮に対して、従来通り手動操作で陸閘の閉鎖を行い、津波の到達時間が短く操作人が閉鎖作業を行えない場合に、安全かつ迅速・確実に閉鎖できる技術を求めており、実証実験には日立造船と阿南工業高等専門学校を代表とするグループ(他構成員はエコー建設コンサルタント、ビッグモデル)の2者が参加を希望していた。
 第2回評価委員会では、第1回会合で決めた両者の新技術を評価する評価項目のうち、実証実験を前に評価する確実性の中に、新たに構造上の耐震性を追加し評価することを申し合わせた。続いて各提案者が委員と新技術の質疑応答を行った後、評価が行われた。評価では、それぞれの提案者の評価シートに委員が各評価項目にそって◎○×などの評価を加え採点した。
 日立造船のネオライズは、無動力で人為操作を必要とせずに開口部を閉塞でき、またシンプルな構造のため、故障の心配がなく、維持管理にも優れるとされる技術。委員からは部材の腐食に対する耐久性や閉鎖の適応性に高い評価を得るなど、全体的に既設陸閘と同等以上であるとの評価を得ていた。
 一方、阿南高専グループは、「津波の波力を利用する陸閘閉鎖法」を提案。当初は河川で下流側の開口部を軸に一定の開度を与え開放しているゲートが、津波の遡上による圧力を受けて自動的に開口部を閉塞する仕組みを紹介したていたが、当日はゲートの開閉にそれぞれロックを設けるなど補助機構を追加し改良した技術を設計図面を交え紹介。委員からは、波力に対する強度や部材の腐食に対する耐久性、越流後の引き波による作用、常時開放時の安全性には問題はないが、構造上の耐震性や閉鎖の適応性、閉鎖に要する時間、閉鎖時の避難者などへの安全対策に既設陸閘と比べ劣ると、一部の項目で厳しい評価を受けていた。
 県は今後、来年3月から1年間かけて自動閉鎖の確認や実操作など実証実験を進めることにしている。その間施工性、経済性面でも評価し、第3回委員会での検証を経て、効果が認められれば、操作人による閉鎖作業が行えない陸閘への同技術の導入を検討することにしている。