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福島建設工業新聞社
2014/01/17

【福島】農業用ダム小水力発電/県、来年度から実施設計

 県農林水産部は、県有の農業用ダムで小水力発電調査事業を進めているが、24年度に導入可能性調査を実施した7ダムのうち、ほぼ年間を通して発電が可能と判断した横川・高の倉・岳3ダムの概略設計に今年度着手。年度内に出力規模や概算工事費算出などの概略発電計画を作成し、26年度には実施設計に着手したい考え。並行して許認可申請・協議を進め、早期着工を目指す。可能性調査を実施した7ダムのうち、堤高が低く取水量が少ない山ノ入ダムは事業の実現性が低いことから除外し、6ダムで小水力発電事業の実現を目指す。
 農業用ダムの小水力発電可能性調査を実施したのは@横川(南相馬市)A松ヶ房(相馬市・宮城県丸森町)B高の倉(南相馬市)C滝川(富岡町)D坂下(大熊町)E山ノ入(二本松市)F岳(同)―各ダム。堤高や落差、流量などから実現可能性を検討し、山ノ入を除く6ダムについて実現可能性有りと結論付けた。うち旧警戒区域内の滝川と坂下の2ダム、非かんがい期の取水量不足が指摘された松ヶ房ダムを除く横川・高の倉・岳の3ダムについて、先行して概略設計に着手した。業務はエイト日本技術開発が昨年10月に着手し、3月末納期で進めている。
 3ダムの発電量は、合計で約450`hを想定。概略設計では、土木工事性、周辺状況などの基本調査を実施した上で、発電機の設置地点を選定。発電設備の構成や概算工事費を算定し、概略の発電計画を作成する。今年度は河川法に基づく水利使用許可申請等のための事前協議にも着手した。
 26年度からは、実施設計の中で事業計画の策定、事業性・経済性の評価、資金調達計画の策定を進めるほか、水利権と電気事業法に基づく許可申請、電力会社との系統連系協議も並行して行う予定。発電量は全量売電する計画だ。
 小水力発電は、県復興計画の重点プロジェクトである「再生可能エネルギー推進」を実現するための柱の一つ。県有施設では、農林水産部がダムや用水路など農業用水利施設で導入へ向けた調査を実施しているほか、土木部が四時ダム(いわき市)でESCO事業を実施する。また、県は地域主導による導入を推進するため、県内市町村と法人を対象とした地域主導型小水力発電導入支援事業を創設し、事業計画や詳細設計に係る費用の一部を補助している。
 小水力発電導入を計画している農業用6ダムの諸元(@竣工年A型式B堤高C堤長D最大取水量)は次の通り。
 ▽横川ダム@昭和59年A重力式コンクリートB78・5bC200bD3・964立方b/秒▽松ヶ房ダム@平成9年A中心遮水型ロックフィルB46bC242・5bD4・594立方b/秒▽高の倉ダム@昭和50年A重力式コンクリートB54・2bC124・4bD2・56立方b/秒▽滝川ダム@平成22年A重力式コンクリートB74・3bC213bD2・187立方b/秒▽坂下ダム@昭和48年A重力式コンクリートB43bC215bD1・04立方b/秒▽岳ダム@昭和54年A重力式コンクリートB60bC215bD1・699立方b/秒